わくわく定年退職ライフ

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【投資初心者におすすめ】個人向け国債のメリット

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。

定年後におそるおそる資産運用を始める人にとって、意外に知られていない地味だけど優れた金融商品が「個人向け国債」です。

個人向け国債には、変動金利型10年満期の「変動10」のほか、金利固定の3年もの「固定3」、5年ものの「固定5」3種類があります。

しかし、定年後の資産運用におすすめできるのは「変動10」だけですので、このあと「個人向け国債」と記しているのはすべて「変動10」のことになります。

個人向け国債は、地味ですが個人だけが購入でき、元本割れしない安心を提供するとても素晴らしい商品です。

 

+++もくじ+++

 

1. 個人向け国債とは 

債権というのは、国や企業が借金するときに発行する引換証のようなものですが、そのなかでも国債というのは国が発行する債券のことです。

一般の国債は主に銀行や生命保険会社などの機関投資家が大口の取引をしていますが、個人向け国債というのは国債の中でも個人だけが買える特別な債券です。

他の債権同様に、定期的に利子が支払われ、満期になれば元本の返済を受けることが可能です。

 

2. 個人向け国債のメリット

(1) 最も安全な資産である

金融の世界ではリスクフリー資産と言う考え方がありますが、これがピッタリ当てはまります。

国債は国の借金なので、日本国という国が潰れない限り、安全が保障されているものです。

株式は企業が倒産すれば、紙くずになってしまいますが、国債は国が潰れない限り保証される最も安全な金融商品といえます。

投資の見返りに得られる利子の支払いは半年毎で、満期を迎えると最初に投資した元本が目減りすることなく100%戻ってくるので安心です。

 

(2) プロも羨む個人専用商品である

個人向け国債は、名前の通り個人投資家しか買えません。

金融機関のプロたちが羨ましがる「0.05%最低保障金利」などがついたとても有利な商品にもかかわらず1万円から購入可能です。

証券会社だけでなく、銀行や郵便局など身近なところで購入可能、年12回と毎月発行され、中途換金もできます。

個人の国債購入を後押しするために国が制度を作ったもので、 プロ向きの国債にはないほどのメリットがあります、個人投資家としてはこれを享受しない手はありません。

  

(3) インフレに強い

個人向け国債の最大の特徴がこれです。

定期預金などで預金をしていても、物価が上昇してくると その物価上昇についていくわけにはいきません。

ところがこの個人向け国債の金利は、基準金利の0.66と決まっており変動します。

基準金利は、利子計算期間開始日の前月までの最後に行われた10年固定利付国債の入札における平均落札利回りですから、完全ではないにしろインフレに対応して金利が上がる仕組みを備えています。

現在、新型コロナ対策でたくさんの給付金などを市中にばらまいていることから、お金の価値が下がりインフレになる懸念があります。

個人向け国債を持っておれば、銀行の定期預金に比べて、インフレに対してある程度備えができていると言えるでしょう。

 

(4) デフレにも強い

インフレに強いと同時に、個人向け国債にはデフレに強いということもあります。

長いデフレの間、日本では株式などを持つより現金を持っておくほうが結局良かったという声があります。

しかし、現金で持っておれば全く利息は付きません。銀行の定期預金に預けても利息は年0.01%程度です。

ところが個人向け国債には最低保証というのがあって、どれほど世の中がデフレで低金利になっても0.05%以下にはなりません。

仮に退職金など1,000万円を超える資金を預けた場合、通常の銀行の定期預金だと年0.01%程度であるうえ銀行の破綻懸念があるのに対し、個人向け国債なら0.05%ということでかなり有利であることがわかります。 

 

(5) 義理で付き合う銀行でも買える

個人向け国債の最後のメリットは「つきあい」対策です。

みなさんも社会人を長く続けていれば、銀行・JA・郵便局など様々な付き合いがあって、全て切り捨てて投資はネット証券だけとはやりにくい場合もあるでしょう。

個人向け国債はネット証券で買うのがお勧めではありますが、郵便局や対面の証券会社や身近な銀行など様々な金融機関で売っています。

商品そのものは一緒ですので、どうしても義理のある金融機関で投資商品を買わないといけない時、個人向け国債は 悪くない選択です。

個人向け国債は国から金融機関に取扱手数料が払われるので、地元のお付き合いのある機関も手数料の高い投資信託には及ばないですが、しっかりと手数料が入ります。

 

3. おすすめする利用方法

(1) 積極的にリスクを取らない人の運用手段

資産運用と言うと株式投資が代表的ですが、値段が上がったり下がったりしてドキドキします。

定年後にも老後を過ごすだけの資産が十分ある方にとっては、あえてリスクのある資産運用しないというのは一つの選択肢でしょう。

しかしながら、そんな時でもお金をどこかに置いていかなければなりません。

銀行預金だと1千万円を超える銀行預金は破綻時に保護されないなど心配です。

また新型コロナウイルス対策で、日本だけではなく世界中の各国の金融当局がジャブジャブの金融緩和をしていることで、インフレの懸念もあります。

そこで元本割れしない安心を提供するうえ、インフレにもある程度対応できるという、この個人向け国債のメリットは、お金の退避場所として大いに活用できるでしょう。

 

(2) 株式と組み合わせることでリスクコントロールができる

資産運用する際に、株式だけで運用する場合は値動きが激しいので、値動きのない債権クラスと組み合わせてリスクコントロールをすることが重要です。

しかし現在の低金利下の中で、おすすめできるような債権クラスの金融商品はほとんどありません。

唯一の代替案とも言えるのが、個人向け国債です。

たとえば、全世界の株式で運用する投資信託50%、個人向け国債50%の比率で資産運用すれば、比較的リスクを抑えて値上がり益も期待することが出来るでしょう。

 

4. 個人向け国債の購入方法

個人向け国債は、全国にある金融機関を通じて購入することができます。
具体的には、全国の証券会社、都市銀行、地方銀行、信託銀行、ゆうちょ銀行などで取り扱っています。

ただ、不用意に金融機関を訪問するとリスクと手数料の高い投資信託などを強く勧められることがよくあります。

そのためオススメは、SBI証券楽天証券 などの大手ネット証券に口座を開き、インターネット経由で購入することです。

 

まとめ

あまり語られることのない、地味な優良金融商品の個人向け国債をご紹介しました。

とくに、投資初心者には、まずは個人向け国債で、ネット証券会社デビューを果たしてみてはどうでしょうか。

  

2020年春に退職した人に贈る資産運用のヒント

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みなさんこんにちは
安井宏@定年退職FPです。

今年、会社や役所を定年退職をされたみなさん、長い間のサラリーマン生活お疲れさまでした。

早速、会社に縛られない自由な生活を謳歌しようと、あれこれ計画されていたことと思います。

しかし残念ながら新型コロナウイルスのおかげで、いきなり外出自粛モードです。

当分は憧れの海外旅行もお預けになりそうです。

しかしながら、退職金で資産運用デビューをする人にとって、実は今年は千載一遇のチャンスかもしれません。

2年前に退職したわたしの視点で、定年退職を機に資産運用を始める人へのアドバイスを考えてみました。

 

+++もくじ+++

 

1. 激変した株式相場

株式相場は、これまで長らく基本的に株価が右肩で上がりで上がってきました。

しかし、相場の特性としてリーマンショックなど様々なイベントにより、一時的に大きく値が下がることがあります。

新型コロナウィルスのパンデミックは、戦争にも匹敵する一大事のため、株式市場にも尋常でないインパクトを与えています。

今回の封じ込め措置が経済成長と雇用に及ぼす衝撃を考えると、2008年の世界金融危機ですら、たいしたことはなかったと思えるほどで、過去に例を見ない経済の先行き不透明感は、経験豊富な投資家ですら、忍耐力が試される状況と言えます。

しかしながら、これまでの様々なショックを見ても、時間がたてば徐々に戻っていくことは間違いないと思われます。

もちろん今回必ずそうなるという保証はないですが、これまでの歴史的経緯を見れば、時間はかかりますが株価は戻っていきます。

もし今、株式投資始めればその上昇の波に乗れる可能性が高いと思います。

 

2. 資産運用開始を焦る必要なし

リーマンショックの時、株価下がってからもとに戻るまで8年近くかかっています。

今は株価が割安に見えるからといって大急ぎで投資をする必要はありません。

あせらず次のような手順で準備してみたらいかがでしょうか。

まずは勉強です。

今株価を見て大急ぎで 購入する必要はありません。

まずは株式や債権などについて、じっくりと勉強しましょう。

幸い家にこもっていてもネットや本など、様々な勉強する機会があります。

じっくり勉強してから株式投資など資産運用を徐々に始めても遅くはありません。

それから少しずつ投資を始め、時間をかけて自分の投資スタイルを作りましょう

くれぐれも、自分のとれるリスクの範囲を超えないように慎重にやりましょう。

 

3. まずは資産運用の基礎を勉強

(1) 書籍で勉強

これまで退職された方は 、銀行などに無料の相談会などに行って割高な投資信託を買わされるというのが結構定番の悲劇でした。

幸い現在は大きな投資セミナーなどができず、ネットセミナーでは電話の勧誘しかないので、惑わされることなくまず勉強しましょう。

おすすめはしっかりした本を読むことが第一です。

例えば、気軽に読める水瀬ケンイチさんの「お金は寝かせて増やしなさい」、さらに深く学ぶなら「ウォール街のランダム・ウォーカー」などいかがでしょうか。

あるいは退職者だという意味で、同じくシニア世代NightWalkerさんの「世界一ラクなお金の増やし方」もおすすめです。

 

(2) ファイナンシャルアカデミー

さらにもう少しお金がかかってもしっかり学びたい方には、ファイナンシャルアカデミーなど有料の講座で勉強してみるのはいかがでしょう。

お金はかかりますが、金融機関の無料セミナーのように特定の金融商品を買うように誘導されることもなく、深く最新の知識を体系的に学ぶことができます。

ファイナンシャルアカデミーはこれまでは集合研修がメインでしたが、いまでは自宅にいながらネットで学べるようになっています。

現在は、収録授業・生放送LIVE・WEB個別体験会など多彩な学び方ができるようになっており便利です。

金融機関のセミナーなどと違い、独立系ならではの中立的な投資教育が受けられます。

いきなり入学するのではなく、とりあえず無料お金の教養講座 などを受けてみて、自分に合うようなら入学したらいいでしょう。

これに限らず有料講座は、いきなり入学せずに無料お試しして、自分にあうか試してみるのがいいでしょう。

参考記事>>【参加無料】ファイナンシャルアカデミー「お金の教養講座」を体験してきました

 

(3) 投資ブロガーから学ぶ

インターネット上では、あなたに物を売って儲けようという人ばかりではなく、自分の情報発信を読んで欲しい人が沢山いて、プロと言われる人を凌駕する知識と発信力を持っています。

ブロガーの人たちの関心は金融商品を売ることではなく、自分のサイトを読んでもらうことがモチベーションになっているため比較的中立的な意見が多いのが特徴です。

個人の投資のための情報でいうと、プロである金融機関やファイナンシャルプランナーより、ブロガーの情報の方が信用できるというのが実情です。

金融機関の宣伝ではなく、ブログの情報を参考にするのが、間違ったお金の情報に振り回されない秘訣です。

ただ、玉石混交のインターネットの常として、中にはブログの広告収入をあげるため、「1年で資産倍増」「年金崩壊」など過激なタイトルで読者を煽る残念なブロガーもいます。

第一線のブロガーが優良な投資信託を選ぶボランティアイベントである「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」の運営に参加されているような方のブログであれば、安心して読んでいただけると思います。

良質な本のところで紹介したNightWalkerさん水瀬ケンイチさんのブログは、記事が良質なだけでなく、他の優良ブログへのリンクも豊富で価値が高いと思います。

ただし、ブログは最新の深い記事が多い反面、体系的・網羅的に学ぶのには向いていないので注意が必要です。

 

4. 自分の投資スタイルを確立

基礎的な勉強や情報収集が完了すれば、少しずつ投資を始めながら、自分に合った投資スタイルを考えていきましょう。

日本経済新聞に投信コラムというページがあり、様々な実力派の個人投資家たちが紹介されています。

実は恥ずかしながら私も「ゆとりある老後を謳歌」として紹介されています。

これを読めば、個人で投資をされてる方が様々なスタイルがあるということがわかります。

機関投資家と違い、わたし達は四半期ごとに成果を出す必要はありません。

わたしはインデックス投資をメインにしていますが、投資には様々なスタイルがあります。

自分にとって腹落ちのする投資をしていくのが、株式市場の乱高下でで狼狽しない持続可能なMy投資術ということになります。

 

まとめ

私はみなさんより2年早く、2018年3月に定年退職し、充実した定年後ライフを送っています。

定年後のゆとりある時間を生かしながら、自分に合った資産運用を始めるのに今年は最高のスタート時期だと思います。

みなさんも新型コロナに負けないように 、素晴らしい定年後ライフを送られるようエールを贈りたいと思います。

 

GPIFを見習い海外資産の比率を増やそう

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。

わたし達の大切な年金積立金を運用しているのがGPIF、正式名「年金積立金管理運用独立行政法人」です。

GPIFが、どういう比率で資産を運用しているかというのは長期運用をしようとする個人投資家にとても参考になります。

このたびそのGPIFが資産構成を大きく見直し海外シフトを強めましたが、その行動はわたし達も参考にしたいものでした。

 

+++もくじ+++

 

1. GPIFとは

私たちの公的年金は積立方式ではなく、現役世代が将来世代を支えるようになっています。

しかしながら人口構成の歪みによって、現在は集めるお金の方が支払うお金より大きいので、その余剰の部分を積立金として将来に備えています。

そのお金は手元や銀行に置いておくのではなく、株や債券などに幅広く投資をされており、その運用を任されているのがGPIFです。

その結果、GPIFは約160兆円を運用する世界最大規模の機関投資家となっています。

 

2. 実は好業績なGPIF

GPIFは四半期ごとに成績を報告しています。

もちろん価格変動のあるものに投資するので、マイナスが出るときもプラスが出るときもありますが、2001年度以降の累積収益額はプラス75兆円です。

幅広く分散投資していることで、収益率も年率プラス3.23%と優良な機関投資家といえるでしょう。

にも関わらずマイナスが出た時だけマスコミが大騒ぎして、年金破綻などと騒がれる可哀想な団体でもあります。

今回の新型コロナの影響も受け、四半期では悲惨な結果が出てマスコミを騒がせますが、賢明な投資家は落ち着いて長期の実績を見る必要があります。

 

3. 2020年度からの新たな資産構成

GPIFは、国内債、国内株、外国債、外国株の4資産に分散して投資していますが、その構成比率を定めた「基本ポートフォリオ」を5年半ぶりに改定しました。

先日発表された2020年度からの新たな資産構成は、米国債など外国債券の割合を従来より大幅に増やすものです。

従来15%であった外国債券の割合を25%に引き上げ、外国株式を含む海外資産の割合を過去最大の50%としています。

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https://www.gpif.go.jp/topics/Adoption%20of%20New%20Policy%20Portfolio_Jp_summary.pdf

直接的には国内債券の収益が低迷する中で、利回りの高い外国債券の比率を高める狙いと説明されていますが、為替変動リスクをあえて取ろうとしているようにも見受けられます。

この基本ポートフォリオは、実質的な運用利回りを1.7%とするという運用目標を満たしつつ、最もリスクが小さいポートフォリオになっています。

こういった投資姿勢は、安定した収益を求めつつも大きなリスクを取りたくないという、定年退職者など個人投資家も見習うべきものです。

 

4. 個人も参考にしたいポートフォリオ

日本株・日本債券・外国株・外国債券など様々な金融商品のカテゴリーがありますが、運用環境は常に変動するため、どれかが常に一番成績が良いと決まってるわけではありません。

したがって、これらを組み合わせて運用するのが長期的に見れば一番リスクを抑えてリターンを高くできます。

今回GPIFは、カテゴリーごとの期待リターン、リスク、相関係数も次のように公開しています。

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https://www.gpif.go.jp/topics/Adoption%20of%20New%20Policy%20Portfolio_Jp_details.pdf

もちろんこれは個人の資産運用にも参考にできるのですが、個々人がそれを計算するのはなかなか難しいものがあります。

ネット上には様々なツールもあり、実は私もそれを利用はしていますが、やはりしっかりと実績もあげており、また日本最高の有識者等が検討した結果でポートフォリオ比率を決めている、GPIFの資産比率というのは参考になると思います。

 

5. 私の場合の資産構成

GPIFは、長期運用を使命としていますが、個人の場合は、寿命があるため年齢が一つの制約要因になります。

つまり歳をとればとるほど、とれるリスクが減っていくというのが考え方です。

よく言われるのは100から自分の年齢を引いたパーセンテージで株式を持ちなさいということです。

私の場合は62歳ということもあり、実際のところ全資産の40%を投資信託など値動きのあるリスク資産に投資し、残りは個人向け国債などリスクのない商品で運用をしています。

一方で、自分の将来もらえる年金が日本円であることも鑑みて、資産全体の海外資産比率は50%を常にキープするようにしています。
今回、GPIFが海外資産比率50%を目指しているということで自分の運用方針も間違っていないと、意を強くしたところです。

現在株式市場は大荒れですが、これまでの長い株式使用の歴史を見ればこのようなことは何度もあり、にもかかわらず株式市場は成長を続けています。

わたしの場合もリスク資産比率を40%に抑えていたおかげで、ダメージを受けつつもそれほど心配せずに日々を過ごせています。

株価が下がった時に、慌てて売ってしまうというのは、おすすめでないということは長期投資の権化とも言えるバンガード社などもアドバイスしているところです。

 

まとめ

卵を一つのカゴに盛るな、という例えがあります。

一つの資産に集中して投資するのではなく、様々な資産に分散して投資をすることによって、期待するリターンはそのままにリスクを下げるということが知られています。

いわゆる分散投資ですが、それではそれぞれの資産にどの程度の比率で登場するのがいいのかといった指針がありません。

その指針に参考になるのがGPIFのポート資産比率です。

今回の見直しを契機に、みなさんも海外資産比率を上げるなど自分の資産配分を見直してみたらいかがでしょうか。

 

SBI証券

相場の変動に「あせらない」のがインデックス投資

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【一部追記】インデックスファンドの元祖、バンガードからタイムリーな情報が出たので追記しました。

 

みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。

定年退職のあと退職金を元手に、初めて株式投資を始めた人が直面するのが毎日の株価に一喜一憂する毎日です。

株を安く買って高く売れば儲かるのが株式相場ですが、そのタイミングを事前に知ることはできません。

そんな中でも、落ち着いていられるのは低コストの投資信託などを使って、世界に幅広く分散投資し、市場の平均的な成果を狙うインデックス投資家です。

なぜ、わたしが定年退職者の資産運用にインデックス投資投資をすすめるのか解説してみました。

 

+++もくじ+++

 

1.相場は誰にもわからない

株を安く買って、高く売って儲けようと多くに人は株式投資に参入します。

しかし株式市場は、初心者からプロまでが同時に同じ土俵で戦う厳しいところで、なかなか売買のタイミングを掴むのは至難の業です。

株式市場が下落すると、その下落がずっと続くと考えます。

上昇すると底値を逃した気がして、今度は株価が高すぎると感じることもあるでしょう。

昨年の株式市場は非常に好調でしたが、いずれ修正局面が訪れます。

新型肺炎、米国大統領選挙、英国のEU離脱など心配の種は尽きず、市場は予測不可能です。

現役時代から、長く資産運用をしている方には常識ですが、最近になって株式投資を始めた方には日々の資産額の変動は耐えられないストレスになります。

その点、インデックス投資は個別の株価や企業業績に関係なく、市場全体の平均を実現するものでプロとしのぎを削らなくても、素人が平均的成果を簡単に実現できるすぐれた仕組みです。

もちろんインデック投資の手段である投資信託なども、日々の価格変動はありますが、過去の経験則から長期的には右肩上がりという安心感があります。

 

2.長期で見ると成長してきた株式市場

短期で見ると明日株価が上がるか下がるかは予測し難いのですが、長期で見るとこれまでずっと株価は上がってきました。

考えてみるとそれも当然で、株価があらわす企業の価値は、日々の企業活動の成果であり、会社経営は儲けるためにやっているわけですから、資本主義が続く限り平均的には会社が儲かり、それを反映した株価が上がるのは当然です。

実際、私たちの年金の積立金を市場で運用している年金積立金管理運用独立行政法人(GPIF)では、株式や債券などの資産を長期にわたって持ち続ける「長期運用」によって、安定的な収益を得ることを目指して運用をしています。

時期によっては損失が出ることもありますが、2001年度~2019年度第2四半期の長期では、年率+3.02%と定期預金などとは比べ物にならない好成績を残しています。

1969年末に「国内債券」「国内株式」「外国債券」「外国株式」にそれぞれ100万円を投資して保有し続けた場合、2018年末にいくらになったかを示しているのが、下のグラフです。

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出典:GPIF

 

3.インデックス投資の肝

インデックス投資は、TOPIX・S&P500・ダウ平均のような株価指数(インデックス)と同じ値動きを目指す投資方法です。

目標にする指数(ベンチマーク)に違いはありますが、考え方は共通です。

(1)重要なのは分散投資

不確実な株式市場への備えとして、重要なのは分散投資です。

一つのかごに、すべての卵をのせるなというたとえ話がありますが、資産運用も同じです。

すべての資金をひとつの金融商品に集中させると、市況が悪く運用がうまくいかなかった場合にはマイナスの影響が資産全体に及びます。

しかし、値動きの異なる複数の資産に分散させれば、リスクを分散しつつ安定的な収益を期待することができます。

具体的には、国内外の国や地域への分散、株式や債券など商品クラスの分散、円やドルなどの通貨分散、ドルコスト平均法などの時間分散などの考え方があります。

考え方としては以前からありましたが、手軽に低コスト投資信託などで実現できるようになったのは最近のことです。

インデック投資のための金融商品はたくさんありますが、長期の積立・分散投資に適したと金融庁が認めたつみたてNISAの対象商品や「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」などで選ばれた、全世界に分散投資する商品を選べば大外れはないでしょう。

 

(2)資産運用におけるリスク

株式などの資産運用には、リスクがあります。

通常は、リスク=危ないこという理解ですが、資産運用の世界でのリスクとは、「数字のばらつきの大きさを表すもの」で平均の上にも下にもどの程度ばらつくかを示します。

つまり「危ない」側だけでなく「儲かる」側にもどの程度ばらつくか、価格の振れ幅の指標です。

資産運用に関しては過去から株価などの膨大なデータが有り、このデータと統計学の知識から どの投資対象がどの程度リスクがあるか、あるいはリターン=収益が期待できるかが計算できます。

投資対象となる株式等の銘柄、投資する地域、投資する通貨には様々なものがありますが、それぞれが常に同じ値動きをするわけではありません。

例えば株式と債券とでは、景気動向に応じて異なる値動きをすることが多いと言われています。

こうした資産や銘柄の間での値動きの違いに着目して、異なる値動きをする資産や銘柄を組み合わせて投資を行うのが分散投資です。

分散投資をすることで、期待されるリターンそのままに、リスクを下げることができるのです。

 

(3)そもそもリスクを取りすぎないこと

株など値動きのあるものに投資する時は、リスクを取りすぎないことが肝心です。

リスクを取れる範囲のことは、法則があるわけではありませんが、株などのリスク資産の部分が半減しても、メンタルがやられない程度が目安だと思います。

一般的には、年齢とともにリスクを取れる範囲である「全資産に占めるリスク資産の割合」は下がると言われています。

「100-年齢の比率で株などリスク資産を持つ」という考え方も広く知られており、62歳の私の場合もこれに習い、全資産の4割をETFや投資信託などリスク資産に投じています。

仮にリスク資産部分が半額になったとしても資産全体で言えば2割減にとどまるとの計算です。

人生はいろいろな浮き沈みがあることを考えれば、資産の2割が既存してもなんとかメンタルは耐えられるのかなと考えています。

 

(4)コストにも敏感になろう

投資によりどれだけのリターンがあるのかを事前に知ることはできません。

しかし、確実にリターンを下げるコストについては事前に知ることができます。

コストは、購入する金融商品の種類だけでなく購入窓口によっても異なるため、賢く選択することが重要です。

5G、自動運転など時流に合わせたテーマ型投資信託や、毎月分配金を年金代わりに受け取れる投資信託などは、証券会社の売れ筋ですが、コストが高く不適切な商品です。

主なコストである信託報酬等を確認し、年間0.5%を超えるものは検討する価値すらありません。

最近の世界に分散できる投資信託では、年間0.1%程度のものも増えてきました。

一例を上げると、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」の投票で第1位となった投資信託「eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)」は、新興国を含む世界中に分散投資ができて、信託報酬はわずか0.1%程度と非常にリーズナブルです。
もちろん最近は、楽天証券SBI証券と言ったネット証券で買えば、購入時の手数料はゼロです。 

参考記事>>資産運用を行う金融機関はネット証券会社で決まり 

  

(5)長期投資では複利の力も重要

また、長期投資には運用で得られた利益をさらに運用して増えていく「複利」の効果があります。

そして投資期間が長いほど、複利効果も大きくなります。

定年後も人生は長いです、長期に渡りインデックス投資で資産運用しつつ必要な資金を取崩して生活するのが、豊かな定年後ライフのために重要です。

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出典:金融庁

 

4.株が下がったときこそ正念場

株が下がった時、なんとか退場せずに資産運用を続けることが重要です。

耐えるために重要なのは資本主義の健全な発展を信じることです。

相場は様々な要因で上下しますが、会社の経営内容がそんなジェットコースターのように変わるわけではありません。

資本主義が続く限り、会社は利益を出そうと毎日のビジネスを続け、企業活動の積み重ねが長期的には株価に反映していきます。 

適切なリスク量でインデックス投資をしているなら、相場が暴落したとしても我慢して次の反騰を待ちましょう。

あせって売却してしまうと、損が確定し資産運用からの退場となります。

「稲妻の輝くのは一瞬」という言葉がありますが、低迷した相場が回復するときは急激です。

インデックス投資の名著であるチャールズ・エリスの「敗者のゲーム」にはつぎのような説明があります。

過去109年間(3万9812日)で、ベスト10日を逃しただけで、この間の利益の3分の2を失うという

 

長期的に見て投資家が失敗する原因の一つは、激しい下げ相場に遭遇してパニックに陥り、上記のような最大の上げ相場に参加する機会を自ら放棄してしまうことだ。
この教訓は明らかである。投資家は、「稲妻が輝く瞬間」に市場に居合わせなければならないということだ。

 また、インデックスファンドの元祖、バンガードからは

投資に関して見失いがちなもう一つの事実は、弱気相場には終わりが来るということ、そしてチャートが示すように、弱気相場を耐え忍んだ投資家は、その忍耐強さが報われてきたということです。

という心強いメッセージが発信されています。

 

5.まとめ

昨今の状況を見るに、資産運用をためらう人が出るのは当然でしょう。

そんな中でも本格的な知識や、調査にかける時間がなくとも手軽に始められ、投資したあとは放置しても利益を生んでくれる、ほったらかし投資の手段がインデックス投資です。

とはいえ、退職金が入ったからと言ってすぐに資産運用を始めるのは、実は賢明ではありません。

ファイナンシャルアカデミー などで本格的に勉強するのもいいですが、まずは第一歩として気軽に読める良質の投資本を読むのはいかがでしょうか。 

梅屋敷商店街のランダム・ウォーカーというブログを主催されている、水瀬ケンイチさんの「お金は寝かせて増やしなさい」は暴落を生き延びた経験も書かれたおすすめ本です。

あるいは、資産運用のおかげでセミリタイヤできた経験もあるNightWalkerさんの「世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめました」は、定年退職世代に通じるものがあり共感できる良書です。 

相場変動に焦ることもなく、長期的には安定的な収益が期待できるインデックス投資は定年退職世代にこそオススメです。

 

インデックス投資の出口戦略、取崩しを考える

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みなさんこんにちは
安井宏@定年退職FPです。

これまでありそうでなかったものが、証券会社による定率の取り崩しサービスです。

若い時代には、つみたてNISAなどによって資産を形成していきますが、高齢期になり収入が細った時、公的年金を補う心強い存在が資産の取り崩しです。

取崩し方法については、三つほどあると思いますがどのような手段を取るかは人それぞれです。

楽天証券

+++もくじ+++

 

1. 楽天証券が始めた新しいサービス

楽天証券は投資信託を顧客の指示に従って、定期的に取り崩しをする「投信定期売却サービス」を始めました。

つみたてNISAやiDeCoなど、資産形成期の投資環境が良くなる一方で、私のような定年退職者が「運用しながら取り崩す」場合の投資環境は整っていませんでした。

これまで SBI 証券に定額取り崩しのサービスはあったのですが、今回の楽天証券のサービスの方が幅広く、いわば待たれていたサービスだと言えると思います。

 

1) 定期売却サービス概要

楽天証券で保有している投資信託を、指定の方法で自動的に売却し売却代金を受け取るものです。

楽天証券の場合は、楽天銀行と口座を連携するマネーブリッジというサービスがあるため、証券口座に入ったお金を無料かつ自動で楽天銀行に移すことができ非常に便利です。

 

2) 取崩し方法は3種類

「定額指定」…毎月売却する金額を指定。指定した額を毎月受け取る。

「定率指定」…指定した投資信託に売却率(口数)を指定。相当する口数を毎月売却して受取る。

「期日指定」…最終受取年月を指定。初回売却月から指定年月まで、指定した投資信託の保有口数を等分し、毎月売却して受取る。

 

3) 設定可能単位

「定額指定」…1,000円以上1円単位

「定率指定」…0.1%以上0.1%単位

「期日指定」…最終受取年月を指定

ここで定率指定の0.1%というのは発表当時は、1%以上というちょっとハードルが高いものだったのですが、ブロガーたちの反応を見てすぐに0.1%に改善をしています。

楽天証券のこの素早い対応は期待以上でした。

 

2. 望ましい取崩し方法はなにか

1) オススメは定率取り崩しか

資産運用について書かれた本の多くでは、老後の資産取崩しは「定率で」と推奨されています。

定率取り崩しには資産を長持ちさせるメリットがあり、識者がお勧めしている方法です。

これはドルコスト平均法の反対を考えてみればよくわかると思いますが、資産運用後の相場は一定ではありません。

市況が良い時に一定額を取り崩すと、口数で言うと少なくて済むのですが、逆に市況が悪い時に一定額を取り崩すと、思ったよりたくさんの口数を解約してしまうことになります。

期間を通したリターンが同じでも、運用開始の早い時期にマイナスが続くと予想より早く資産が減ってしまいます。
これを収益列配列のリスクと呼ぶのですが、定額取崩しにはこの欠点があるのが定率取崩しが推奨される理由です。

理論的に考えると定率取り崩しが優れているということは言えると思います。

しかしながら、実際の高齢者の生活を考えてみるとこれはあまりフィットする方法ではないと思っています。

実際、高齢者は収入も限られその範囲で慎ましやかに暮らすというのが一般的です。

その中で入ってくるお金について、その時々によって増えたり減ったりするというのでは安定的な老後生活が送れません。

極端な話、ニュースで「ダウが上がった」「日経平均が下がった」ということに一喜一憂する生活を定年後も続ける必要があります。

こういった状況に一喜一憂するのは、老後のストレスでありお勧めできないというのが私の考え方です。

そもそも高齢期になると、いつ病気になるか、いつまで生きられるかなど予測不能なことが多いです。

株式相場の変動だけを、過度に気にしても仕方がないと思います。

 

2) 定額取崩し

私が自分の想定をしているもう一つは定額取り崩しです.

老後の年金は、偶数月の15日に入ってくるので、奇数月に証券会社からお金が入ってくるというのは現役サラリーマンの頃と同じような感覚で家計を運営できることで非常に居心地がいいものだと思っています。

定率取り崩しに比べて資産の寿命が長くなるか短くなるかは、実際のところ市況によるので、この方法が悪いとは思っていません。

いまのところ私の資産運用では、リスク資産と非リスク資産を分けて運用しているため、時々リバランスの作業が必要です。

将来的に、低コストで債券も含んだバランスファンドだけに金融資産を一本化して、低額取崩しを設定すれば、究極のほったらかし&資産運用しながら取崩しが実現できると考えています。

これまで SBI 証券がこの方法のサービスをしていてブログでもオススメをしてきました。

いまのところ楽天証券のサービスは、毎月取崩しですが、SBI証券のサービスでは2ヶ月に一回が選べます。

楽天証券でも、こういった隔月受け取りができるようになるのを期待したいところです。

 

3) 計画的取崩し

3番目の方法は市況とは関係なく、自分のライフプランに従って取り崩しをするというものです。

ファイナンシャルプランナーが作るキャッシュフロー表というのがありますが、何歳の頃にいくらぐらいを取り崩すということをあらかじめ決め、そのそれに従ってその金額を取り崩す事です。

少し合理的ではないように思えますが、実際には老後の生活と言っても全く同じ日々が続くわけではありません。

配偶者の退職、家のリフォーム、記念の海外旅行など様々な自分のライフプランを考えてキャッシュフロー表を作っておくと、概ねどの程度の金額が取り崩せるか予定が立ちます。

それに従って必要額を取り崩していくのがこの方法です。

運用が上手くいくいかないによって取り崩す原資は変わってきますが、キャッシュフロー表を一度作っただけでなく、こまめに見直しをすることによって計画的な老後生活とできるだけ寿命を伸ばす資産運用の両立ができます。

 

3. 資産全体のバランスを保つ

投資信託を指示どおり現金化出来るとしても、老後の資産全てが投資信託という人は少数派でしょうか。

個人向け国債や定期預金と組み合わせてポートフォリオを構築しているひとなら、自動で取り崩すとバランスが崩れてくるので注意が必要です。

定期的に、リスク資産の比率を見直しリスクを取りすぎないようにするリバランスという作業が必要ですが、それも面倒な人は低リスク、低コストのバランスファンドを選ぶのもいいでしょう。

さらに重要なのは、年金収入やその他の社会保障給付を含んだ全体像を把握しておくことです。

 

まとめ

楽天証券の新しいサービスによってインデックス投資の「ほったらかしで運用できる」メリットが資産運用の出口においても使えることになりました。

私のようにすでにシニアライフに入っていて、元気な時間が限られている人間にとっては、資産運用に頭を悩ますことなく運用が継続しながら定年退職ライフをエンジョイできるというのはとても素晴らしいことです。

楽天証券とすれば顧客の預かり資産を減らす仕組みなので、営業的にはあまり良いことではないのかもしれませんが、シニアのためにこういったサービスを考えていただいた決断に拍手を送りたいと思っています。

楽天証券

【書評】資産寿命 人生100年時代のお金の「長寿術」(大江英樹 著)

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです

今回ご紹介するのは、講演会講師として人気の高い経済コラムニストの大江英樹さんの著書『資産寿命 人生100年時代のお金の「長寿術」』です。

年金不安に負けない、資産を"延命"する方法を伝授するという謳い文句ですが、大江さんご自身がすでに定年後生活に入っていることもあり、知識の詰め込みだけでない実践的な内容になっています。

老後2000万円問題や年金財政検証などで、老後資金に不安を持つ人が増える中、タイムリーな書籍です。

 

+++もくじ+++

 

1. 背景は老後資金をめぐる不安

2019年は、「95歳まで生きるには夫婦で2千万円の蓄えが必要だと試算」した金融庁の報告書が大炎上し、多くの人が定年後に年金だけでは暮らせないと不安になりました。

また公的年金の健康診断とも言うべき財政検証が発表され、年金に対する関心が高まりました。

大多数のサラリーマンにとって、老後の資金というのは定年前の不安の一番に挙げられる事項ではないでしょうか。

不安の原因は、スバリ「知らないこと」です。

この本では、そんな不安を解きほぐすように丁寧に解説してくれます。

 

2. 本の内容を紹介

(1) 資産寿命

この本では、まずはじめに資産寿命という考え方について書かれてます。

言うまでもなく、人生100年時代と言われる中、単なる寿命だけでなく資産寿命が大切です。

サラリーマンであれば、定年の時に貯金を持っていなくても資産がゼロというわけではないのです。

ほとんど資産がないと言う人は多いのですが、そんなサラリーマンに重要な気づきを与えてくれます。

最も大きな金融資産、それは「公的年金」です。

まず、重要なのが公的年金です。

老後に年金がもらえることは知っていても、それがどれほど大きな金額になるかご存じの方は少ないでしょう。

平均的なサラリーマンであれば、90歳まで生きた場合に受け取れる公的年金の総額は6~7千万円ぐらいはあります。

 6~7千万円、結構な金額の資産を持っていることがわかります。

 

(2) 働いて資産寿命を延ばす

そして、次に紹介するのが「働いて資産寿命を延ばす」ことです。

仮に60歳であっても、そこから働くことを一切止めない限り、その人の人的資本、すなわちお金を生み出す力はゼロではありません。

このパートでは、資産運用などよりも働くことこそが資産寿命延伸の本命であるという、著者の強いメッセージが、具体的な数字とともに紹介されています。

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(3) 収支の管理

支出に対する基本的な考え方について述べてみたいと思います。

資産寿命を延ばすというと、まず収入を増やすことを考えがちですが、それと同じか、場合によってはそれ以上に大切なのが、支出を管理することです。 

 当たり前と思われがちですが、支出をしっかりコントロールする必要性を改めて説いています。

「お金を儲ける」ということではなく、あくまでも「資産寿命を延ばす」ことを優先して考えるのであれば、大事なことは支出をコントロールすることであることを忘れてはいけません。

 

(4) 年金の知識

年金は高齢者の重要な関心事でありながら、複雑さ故に間違った知識が氾濫していることに警鐘を鳴らしています。

まず、年金の本質を誤解している人に向け、

年金の本質は「貯蓄」ではなく、「保険」なのです。

と、説明しています。
具体的な長生きリスクや障害のリスクなども詳しく説明されています。

公的な年金に加入しているということは、民間保険会社が提供している所得補償保険、傷害保険、そして生命保険に該当する保険に入っているのと同じことなのです。
日本は国民皆保険制度ですから、原則は全員がこれらの保険に入っており、様々な不幸に対応できるようになっています。

 

(5) 資産運用

本の最終盤が近づいてきたところで、ようやく「資産運用」の説明が始まります。

いうまでもなく著者は、資産運用のエキスパートです。

その著者が「あえて」資産運用をここに持ってきたところに、「資産寿命を延ばす」ことは必ずしも投資することだけではないという、強いメッセージを感じます。 

ここではまず、金融機関等の不安を煽って資産運用へ誘導する商法へ注意するように促しています。

そして具体的な投資手法については、

大幅に利益を得ることは期待しなくても購買力を維持することを目的にするのであれば、個別の銘柄を研究したり考えたりすることなく、全世界の株式へ国際分散投資することだけでも十分だろうと思います。

と、紹介されています。

これは私のブログなどでもしつこく書いているインデックス投資にほかなりません。

自分の取れるリスクを見極め、その範囲内で低コストのインデックス投信で世界に分散投資するというのがやはり王道なのでしょう。

 

(6) 定年後の実践者の体験を紹介

この本の特色の一つは、お金にまつわる知識だけでなく『私たちの「お金の長寿術」-5人の老後のお金と暮らし』として実践例を紹介しているところです。

定年後の状況は、十人十色で正解があるわけではありません。

この本では基礎的な知識を書くだけでなく、具体的に定年後生活を経験されている5人にインタビューし、その考え方を紹介しています。

 

3. 私の感想

(1)  この本を読んでほしい読者

定年前に十分な資産があり老後安心と思える人は少数でしょう。

この本は、その他大勢の定年後に漠然とした不安を持つ人に最適です。

特に、最後の『私たちの「お金の長寿術」-5人の老後のお金と暮らし』の部分は、先に定年した先輩の意見を5人分まとめて聞ける貴重な機会だと考えます。

十分な金融資産を持たないままに退職年齢を迎えても、公的年金も退職金も、そして何より働ける身体があることに気づかせてもらえる本です。

 

(2) あえて望みたいこと

この本では購買力を維持することを投資の目的にするよう述べており、個人的に大賛成です。

ただ、その方法論として国際分散投資とサラリと述べられているのですが、外国為替についてももう少し突っ込んでほしいところです。

将来もらえる年金はすべて円建てです。

超円安に起因するインフレになっても購買力を守るためには、資産運用部分でもっと外貨比率を上げておくべきと言及が欲しかったと思いました。

 

4. まとめ

だれもが高齢期になると不安なのが老後資金。

私のブログも含め、定年退職者向けの知識はインターネット上に溢れています。

しかし本は、ブログと違ってまとまった知識を体系的に習得できます。

自分の寿命が尽きるまでにお金が底をつき、惨めな老後を送るのではないかと不安な人は多いです。

自信を持って定年後生活へ歩みだすため、まずこの一冊を読んでみることをおすすめします。 

VT愛好者の心を揺さぶる新ETF、MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信が出現

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。

投信ブロガーの祭典「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」で上位に多くのeMAXIS Slimシリーズをランクインさせるなど、個人投資家に人気の高い投資信託販売会社の三菱UFJ国際投信株式会社

このたび「グローバル株式に分散投資する上場投資信託(ETF)の手数料を世界最低とする」とMAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信を東証に上場させました。

市場の平均を手堅く狙うインデックス投資においては、運用期間を通じて支払う必要のある手数料は確実にコントロールできる要因なのでとても大切です。

わたしも大注目のこのETF、概要と注目点をご紹介します。

 

+++もくじ+++

 

1.ETFの魅力

株式に投資をする場合、単一の銘柄に投資するより幅広い銘柄に分散投資することで、リスクを軽減できることは広く知られています。

その手段として、投資信託が広く用いられていますが、投資信託を上場し通常の株と同じように売買できるのがETFです。

ETFは、その時点の価格で売買できるのがメリットで米国を中心に急速に普及が進んでいます。

また、一般的には、販売会社に支払う手数料が不要で、毎年かかる信託報酬等の保有コストも通常の投資信託より安いのが魅力です。

ただ、最近は証券会社の販売手数料の無料化が進み、通常の投資信託でも低価格競争が進んで全世界に広く分散投資できる投資信託のコストが年0.1%以下のものが出てくるなど、ETFの優位性もややゆるぎ始めたところです。

 

2.これまで私はVT派

私はVTの愛称で呼ばれるETFをポートフォリオの中心にしています。

VTは正式名称をバンガード・トータル・ワールド・ストックETFと言い、世界市場全体への分散投資をこれ一本で実現できるETFです。

米国籍のETFですが、日本の証券会社で誰でも買え経費率(トータル・エクスペンス・レシオ)は年0.09%と非常に低コストです。

アメリカの証券取引所(NYSE Arca)に上場されており、商品識別に使うティッカー・シンボルが「VT」であることから、多くの人がVTと呼んでいます。

ベンチマークのFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは、全世界の大型、中型、小型株の市場パフォーマンスを対象にしています。

保有上位銘柄としては、アップル、マイクロソフト、アマゾンなどが並びます。

市場構成比としても、米国市場が5割を占めるほか、日本、英国など全世界に分散しています。

運用成績については、他の金融商品同様に変動しますが5年、あるいは設定来という中長期では6%前後と安定して優秀な成績を残しています。

参考記事>ファイナンシャルプランナーが愛してやまないVTの魅力とは

 

3.国内ETFの魅力

東京証券取引所にも多数のETFが上場されていますが、残念ながら米国市場ほどには厚みがなく、長期分散投資のため活用されてるとは言い難い状況です。

市場が活発で取引量が多くないと、売りたいときに売れない流動性リスクを懸念して、さらに資金流入が減るという負のスパイラルがありました。

しかし、流動性を確保するためのマーケットメイク制度の開始で、対象銘柄については、常に十分な量の注文を適切な価格で提示されるようになり、流動性の不安を軽減できるようになりました。

海外でETFを購入する場合には、日本円を外貨に両替する為替手数料と両替の手間がかかりますが、日本市場ではその負担がありません。

また、取引が日本時間の昼間に行われるため日本人としては取引しやすいと考えられます。

 

4.MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信の概要

MAXIS全世界株式(オール・カントリー)上場投信は、2559というコードで東証に上場承認されました。

上場は2020年1月9日で、年率信託報酬は0.0858%(税抜0.078%)という低コストです。

ベンチマークとして、円換算したMSCIオールカントリー・ワールド・インデックス(MSCI ACWI)が用いられています。

MSCIオールカントリー・ワールド・インデックスは、日本を含む世界の先進国と新興国の株式市場のパフォーマンスを総合的にはかる指数であり、これに連動することで実質的に世界の株式市場への分散投資が実現します。 

ベンチマークこそ違え、商品性は日本人好みのVTを意識したものと思われ、個人投資家の人気を集めそうです。

なお、同社では米国株(S&P500)に連動する「MAXIS米国株式(S&P500)上場投信」も同時に上場すると発表しています。

個人投資家に人気のeMAXIS Slimシリーズと合わせ、投資信託とETFの両面から長期投資資金の取り込みを図る狙いがあるようです。

 

5.気になる留意点

わたしが米国上場のETFにこだわる理由の一つは、国内市場でのETFの厚みがなく、売りたいときに売れない流動性リスクの懸念です。

また、取引が低調だと指数との乖離が広がるトラッキングエラーが起こりやすいのも心配です。

今回の場合、新ETFがマーケットメイク銘柄となったので、ある程度懸念は軽減されていますが、しばらくは注意してみておく必要があります。

また、信託報酬は0.0858%と驚異的ですが、ETFは信託報酬以外にも上場費用や対象指数についての商標使用料等が必要になるため、それも含めてVTの経費率(トータル・エクスペンス・レシオ)年0.09%を下回るのかも注目すべき点です。

今すぐ大きく購入に走るべきかと言うと、まだ様子見しながらとすべきでしょうが、機関投資家の資金も流れ込んでいるようなので将来の発展を期待したいETFです。 

 

まとめ

世間を騒がした、老後2000万円報告書の問題で老後の資産形成への関心が高まっているようです。

これに呼応するかのように、ネット証券会社などでの売買手数料無料化が進行しつつあり、投資信託でも信託報酬等コストの低減化が止まりません。

今回のETFは、このような個人投資家にとって嬉しい環境のもと、新たに国内ETFで驚きの新商品が出てきたものです。

年2回の配当が出ることも含め、定年退職者にとってETFは相性がいいので、VT愛好者のわたしとしてもこの新商品を暖かく見守っていきたいと思います。

 

SBI証券 楽天証券

【書評】アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。

今回紹介する本は、わたしが高校生の時にぜひ読みたかった「マネーリテラシー」に関する本です。 

 

+++目次+++

 

お金の知識の欠如が人生の質を下げる

ファイナンシャルプランナーとして、周りの人たちと接していて、つくづく感じるのはお金の知識がないと、騙されたりいらぬ苦労をしたりと、生活の質が下がるということです。

もちろん、お金は人生の目的でもないし、お金があれば幸せになれるわけでもありません。

しかしながらビジネスだけでなく、私達の毎日の営みもお金を介して行われており、お金に関する知識がないと、損をするばかりです。 

多くの日本人は、社会で揉まれながらお金の知識を習得していると思いますが、本来はもっと若い頃から学ぶべきでしょう。

 

日本で欠けている金融教育

ところが、日本の学校教育ではほとんどお金に関する教育の機会がありません。

本来は、文部科学省が小学校の時から年齢に応じて、順次教えていくべきですが残念ながらそうはなっていません。

最近では金融庁や日銀系の金融広報中央委員会が、お金の大切さや経済の仕組み、投資などについて情報提供を始めたりしていますがまだまだ不十分です。

大学生などがデート商法などに騙されるニュースを聞くにつれ、本来はもっと若い時期にマネーリテラシーを学んでおればと残念でなりません。

 

アメリカの高校生向けマネー本

今回ご紹介する本は、 アメリカ人の高校生向きとはなっているますが、日本でも問題なく受け入れられる内容です。

ファイナンシャルプランナーのわたしから見ても本格的で、お金に関しては人生で学ぶべきことすべてを網羅していると言って過言ではありません。

アメリカの高校生が、この本でお金のしくみや社会の仕組みを学んでるとすれば、羨ましい限りです。

 

内容は人生を網羅した本格派

 目次をご紹介しますが、項目だけ見ても人生のあらゆるお金にまつわる話が盛り込まれていることがわかるでしょう。

第1章 お金の計画の基本
 そもそもお金とは何か
 購買力を下げる一大要因・インフレーション
 どうすれば「経済的に自立」できるのか
 人生設計とお金の関係
第2章 お金とキャリア設計の基本
 あなたのキャリアとお金の関係
 人的資本──「資産価値の高い人」とは
 人を雇うメリットとリスク
 生涯所得を最大化させるために大切なこと
第3章 就職、転職、起業の基本
 ビジネスにおける「組織」の仕組み
 決算書の読み方
 「事業計画」に必要なポイントはこれだけ
 フランチャイズビジネス
 副業──一生食いっぱぐれない働き方
 不動産
 資金調達のやり方
 景気はどうすれば読めるのか
 「景気がいい」「景気が悪い」とはどういうことか
第4章 貯金と銀行の基本
 貯め方より使い方が重要?
 どんな人でも貯まる貯金の仕方
 銀行は何のためにあるのか
 銀行口座
 ATM
第5章 予算と支出の基本
 予算設計の第一歩
 お金の「出入り」に注目する
 もしもの備え
 実際に予算を立ててみよう
 自動車を買う
第6章 信用と借金の基本
 借金と返済計画
 お金の時間価値
 担保と返済
 住宅ローン
 金利と複利の仕組み
第7章 破産の基本
 最後のカードはなぜ「破産」なのか
 最後の打ち手を回避するには?
第8章 投資の基本
 投資でお金を育てる
 リスクとリターンの考え方
 株式市場はどういうところか
 低リスクではじめられる投資信託
 「株価指数」の読み方
第9章 金融詐欺の基本
 「必ず儲かる投資」のウソ──ピラミッドスキーム
 その他の投資詐欺
 誰かがあなたになりすます
 パソコンやスマホを安全に使う
 ワンクリックの罠──ネット詐欺
第10章 保険の基本
 保険とは何か
 あらゆる損害を補償する財産保険
 暮らしを守る賃貸保険
 事故に備える自動車保険
第11章 税金の基本
 税金と納税の仕組み
 税金で何ができるのか
 「消費税」は何のためにあるのか
第12章 社会福祉の基本
 貧困格差解決ガイドライン
 学資ローン・奨学金
第13章 法律と契約の基本
 契約とはどういうことか
 婚前契約
 法的責任のリアル
 有形財産と無形財産
第14章 老後資産の基本
 老後の資金計画
 老後資金はいくら必要か
 遺言と遺産──相続の準備の仕方

もちろん、幅広いということは個々の項目については詳しい解説はなく、まさに教科書的になっているのは仕方ないところです。

 

わたしの印象に残っているところ

この本すべてのパートが役に立ちますが、わたしが特に印象に残ったところを抜粋してご紹介しましょう。

お金がたくさんある人も、ほとんどないという人も、真っ先に知っておかなければならないことがある。それは、周りにいるすべての人が、あなたのお金を奪おうとしているということだ。

 「無駄遣いしない」などの教訓ではなく、高校生たちがこれから出ていく社会を一言で表した名言だと思いました。

転職が当たり前になる世の中では、変化を見据えたキャリアプランが重要になる。

生涯所得を決めるもっとも大きな要素は、どんな職業を選ぶかということだ。

本書では、お金=投資と捉えず転職などキャリア形成についても詳しく書かれています。

いうまでもなく仕事はお金と密接に関連しており、正しいキャリア形成の方法を事前に知るかどうかで、人生の質は大きく変わることになります。 

これから大切なことを言うので、よく覚えておいてもらいたい。「クレジットカードはいつも1回払いにすること」。

実践的な知識として、生活方法についても詳しいです。

いうまでもなくアメリカではクレジットカードの利用は一般的ですが、使い方には注意が必要です。

残高を次月に持ち越すことで、クレジットカード会社に高い金利を支払うことのないように戒めをしている。

お金の問題は、たいていの場合、借金が多すぎることだ。借金は人間関係を悪化させ、本人の幸福感も著しく低下する。

お金のトラブルと言えば借金が多いです、安易にローンを組んだりカード払いをすることのデメリットを紹介しています。

破産とは、借金が免除される、あるいは大幅に減額されるための法的な手続きだ。破産という制度があれば、やむにやまれぬ事情で借金が返せなくなった人も、重荷から解放されて新しい人生を始めることができる。

この本の中でも、ここまで高校生に教えるかというのがこの部分。

アメリカの高校生が早い段階から破産について学んでいるとは驚きです。

日本でもサラ金に追い詰められて命を断つ人がいますが、敗者復活の手段を早めに教えるのは悲劇を防ぐ上で有意義だと思います。 

自分や家族も、いつまでも健康でいられるとはかぎらない。そして遅かれ早かれ、仕事を引退して老後の生活に入るときがやってくる。老後の準備を始めるのに遅すぎることはないが、早ければ早いほど有利になるのも事実だ。

極めつきはこれ、高校生に老後の話までするとは驚きです。

まさに、人生のお金に関すること全部盛りの本と言えます。

 

まとめ

アメリカの高校生が学んでいるという、「アメリカの高校生が学んでいるお金の教科書」をご紹介しました。

お金の知識「マネーリテラシー」の大切さは、強調してもしすぎることはありません。

すでに定年後となった私にはちょっと遅すぎる本ですが、ぜひ周りの若い人たちには読んでもらいたい一冊です。 

  

 

 

 

【書評】世紀の空売り 世界経済の破綻に賭けた男たち

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。

投資に関心のある人なら誰でも知っているリーマンショック。

その原因が、サブプライムローンというアメリカの低所得者向けの住宅ローンであることはご存知だと思います。

しかし多くの投資家さんも、低所得者に住宅ローンを貸すことが大手の投資銀行が倒産することになり、世界中の株価が見たこともないほどの下落に見舞われる原因とは誰も分からなかったです。

私も当時新聞などで様々な解説を読んだものの、しばらくそれを忘れていました。

久々にマイケルルイスの本を読んだとき改めて衝撃を受けました。

金融の世界に興味のある方にはぜひ読んでいただきたい一冊をご紹介します。

+++もくじ+++

 

1.サブプライムローンが世界を破綻させるまで

サブプライムと呼ばれる低所得者に対する住宅ローン。

ローンを貸し付けると毎月毎月、元金の返済と金利が貸し手に入ってきます。

この入ってくるお金を受け取る権利を、貸し手がずっと持ち続けるのではなく、証券の形にして他者に売ることができます。

個々のローンについては、相手が低所得ということで焦げ付くリスクは多いものの、それを寄せ集めれば全体としてリスクが軽減されます。

統計的な解説はしませんが、分散投資で多数の銘柄に投資すれば、投資のリターンそのままにリスクを下げられるのと同じように理解してもらえばいいと思います。

このサブプライムローンの寄せ集めを、さらに寄せ集めリスクの高いものから順に並べた商品を投資銀行が開発しました。

これは洪水のよく起こる平原のビルのようなもので、1階は危なくても、上層階に行くほど洪水被害は少ないと考えられるのと同じです。

この発明品の上層階部分について、きっと被害が少ない(返済が滞らない)ということで、なんと格付け機関がアメリカ国債並のトリプルAの格付けをつけたのが悲劇の集まりです。 

米国債と同様にAAAの格付けを持ち、米国債以上の利回りが得られる不動産担保証券としてドイツ・日本を始め世界中にこの商品が売られたのが、リーマンショックが世界中に波及した原因の一つです。

さらにこの商品を持っている投資家が価格下落した際の保険のような商品を考えだしたヘッジファンドがあり、大手保険会社のAIGなどがそれを売りまくりました。

こうして最初にローンを借りた低所得のアメリカ人が、ローンを返せなくなるリスクが、投資銀行、保険会社、世界中の大手投資家などに何倍にもなって拡大したのが、そもそものリーマンショックの原因です。

 

2.世紀の空売りをした反逆者たち

サブプライム関連の商品でウォール街が大儲けしていた頃、そんなバブルの崩壊を予想し、大勢とは反対方向にかけて空売りをしていた投資家がいて、それがこの本の主人公たちです。

著者のマイケル・ルイスは、もともと投資銀行の債券トレーダーからキャリアを出発させただけあり、業界内部の豊富な知識をもとに、実際にあった話を読者の目の前に再現してくれます。

この本を読めば、プロのヘッジファンドの凄さ、あるいは愚かさを改めて思い知ると思います。

文庫本になって、お求めやすくなっているので一度読んでみたらいかがでしょうか。

 

3.やっぱりインデックス投資がおすすめ

私自身は、投資家ではありますが、個別株には一切手を付けずに市場の平均を買うインデックス投資だけに絞ってます。

この本を読んで、そのような魑魅魍魎のヘッジファンドや最近ではAIが活動する土俵の上で、個別株の売買など怖くてできないと、改めて感じた次第です。

インデックス投資は、ほとんど手間を掛けずに、プロの人達が戦った結果の平均値を低コストで買える、非常に優れた戦略です。

 

SBI証券 楽天証券

投信ブロガーの祭典ファンドオブザイヤー、投票の決めてはこれでした

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みなさんこんにちは
安井宏@定年退職FPです。

投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year 2019」(以下ファンドオブザイヤーという。)が始まり、全国の投信ブロガー達が、自分が推薦する金融商品の投票を始めています。

わたしも投資に関するブログを書く一人として、一票を投じましたが昨年とは主張を変えました。

資産を積み上げるフェーズではなく、投資の出口戦略の時期に入った個人投資家の考えの一端をご紹介します。

 

+++もくじ+++

 

1.これまでファンドオブザイヤーで選ばれた投信

投資信託に造詣の深いブロガーが投票で優秀ファンドを選ぶのが、ファンドオブザイヤーです。

これまで入賞した投信は、ファンドオブザイヤーのホームページで見ることが出来ますが、最近10年に1位に輝いた投信は以下のとおりです。

 それぞれ理由があって栄冠に輝いていますが、総じて言えば次の3つに集約できます。

  1.  全世界に広く分散投資
  2.  低コスト
  3.  インデックス運用

これらは現在の標準的な投資理論に忠実であると言え、投票した投信ブロガーたちのマネーリテラシーの高さを反映していると言えるでしょう。

つみたてNISA制度のスタートなどで、低コストインデックスファンドの選択肢は広がっており、使う指数の差異やコンマ以下の信託報酬の違いなどでは差をつけにくくなっています。

一方で、ファンドの歴史や資産総額などには注意が払われにくく、一昨年、初出でいきなり1位に輝いた楽天・全世界株式インデックス・ファンド(楽天VT)が翌年には一気に9位に落ちるなど、激しい展開も見られます。

 

2.昨年投票したのはVT

 昨年は、わたしの金融資産(リスク資産)の中で最も多くを占める、VT(バンガード・トータル・ワールド・ストックETF)に投票しました。

理由としては、世界市場全体への分散投資をこれ一本で低コストに実現できるETFだからでした。 

(1)  VTとは

VTは、低コストインデックスファンドで有名なバンガード社が作ったETFで、正式名称はバンガード・トータル・ワールド・ストックETFです。

ETFは一般的に、通常の投資信託と比べて販売会社に支払う手数料がない分、信託報酬が低く投資家に有利です。

VTは、アメリカの証券取引所(NYSE Arca)に上場されており、商品識別に使うティッカー・シンボルが「VT」であるため、多くの人がVTと呼んでいます。

米国を含む全世界の先進国と新興国の株式市場へ投資するもので、約47ヵ国の約8,000銘柄で構成し、全世界の投資可能な市場時価総額の98%以上をカバーしています。

ベンチマークのFTSEグローバル・オールキャップ・インデックスは、全世界の大型、中型、小型株の市場パフォーマンスを対象にしています。

米国籍のETFですが日本の証券会社で誰でも買えるもので、私のリスク資産の大半は VTになってます。

運用成績であるトータルリターンは、直近では大きな変動はあるものの5年、あるいは設定来という中長期では6%前後と安定して優秀な成績を残しています。

指数に連動するインデックス投資では、運用成績に差が出ないため確実に運用成績を下げるコストが極めて重要です。

バンガードETFの経費率はこれまでも継続的に低下してきており、直近では0.09%と驚異的な低コストとなっています。

これは純資産額が増加するにつれて、信託報酬で儲けを出さなくても貸株金利で利益が取れることによります。

これまでも毎年のように信託報酬引き下げが実施されていることから、今後さらに低くなることも期待されます。

「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year」でVTは過去2009年、2012年、2013年のFund of the Yearの一位に輝いてます。

また、2017年には派生商品である楽天VTが1位になっています。

 

(2)  VTの魅力

日本人が投資する商品として、VTは優れた魅力を持っています。

まず、世界分散投資が簡単にできる市場の平均を取りに行くインデックス投資の有効性は広く知られてますが、時価総額加重平均で世界市場の株式を丸ごと保有するのが基本的なセオリーです。

現在は米国株が人気ですが、以前には新興国株がもてはやされたことを忘れてはいけません。

「今までアメリカ市場はが右肩上がりだったから、今後も同じく右肩上がりになる」と考えるのは危険です。

どの地域の株が上がるかというのを「事前に」知ることはできません。

そうであれば、日本や米国だけでなく、その他の先進国や新興国に幅広く分散して投資するのが王道と言えるでしょう。


VTは、米国株なので購入時に為替手数料と株式売買手数料がかかるという点が欠点です。

しかし、定年退職者が退職金などある程度まとまった金額を運用するには、むしろこちらの方が良いでしょう。

ETF であれば買うとき売るときに手数料はかかりますが、そのぶんコストが明白で隠れコストがないので、まとまった金額の投資に向いています。

退職金などで、安定して長期投資をしようというときに問題になるのが 繰上償還をされてしまうということです。

運用残高が小さいことを理由に繰上償還される投資信託は、実はかなりあります。

繰り上げ償還されてしまうと、継続的な投資が途切れるほか、その時点で税金も確定するなどパフォーマンスが下がります。

VTは2008年6月に設定された歴史あるETFで、ファンド純資産総額も160億米ドルと巨大です。

最近発売されたファンドのように、繰り上げ償還を懸念する必要はないでしょう。

 

全世界への投資で 「日本+日本以外の先進国株+新興国株」のように世界市場を分割して購入することで、徹底的にコストを下げるマニアックな方法も提唱されていますが、VTの良いところは自分でリバランスする必要がないことです。

結論として、VTは究極のほったらかし投資ができる ETF でお勧めだというのが、昨年投票した理由です。

 

関連記事>ファイナンシャルプランナーが愛してやまないVTの魅力

 

3. 定年退職者の目線で投票基準を再考

今回、今年の投票先を考えるに当たり「定年退職世代に適した商品かどうか」というのを基準にしました。

定年直後はともかく、長く運用することを考えると資産形成期にある若者と、資産を取崩していく定年後世代では、評価基準が異なると考えました。

定年退職世代は、一般的に言って退職金などが入り、その人の一生でも最もお金がある時期です。

しかし、その人の平均的な余命は20-30年程度しか見込めず、特に75歳以降は認知能力の低下が避けられない人たちです。

そこで定年退職者の投資先として重要な要素を次の4つと考え、今年の選定基準としました。

  1. 世界に広く分散投資を低コストで実現できること
  2. 運用や取崩し確定申告に手間がかからないこと
  3. ファンドの償還など不測の事態が起こらないこと
  4. 評価が定まっていること

 

4. 今回投票した投信

 今回様々なことを考えて投票したのは、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」でした。

同ファンドは、前述の4つの視点で考えても安心して持ち続けられる金融商品だと言えるものです。 

(1)  世界に広く分散、低コスト

<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」は、日本を除く世界主要先進国の株式に投資することにより、MSCIコクサイ・インデックス(配当込み、円換算ベース)に連動する投資成果をめざす低コスト投資信託です。

組入銘柄上位には、アップル・マイクロソフト・アマゾンドットコム・フェイスブックなどが並び、まさに世界の株式の断面、1スライスを買っているようなものです。

コストの面で見ても、現在、運用管理費用(信託報酬)は、税抜0.0999%と業界最低水準にあります。

もちろん、<購入・換金手数料なし>の名前のとおり、購入時の購入時手数料および換金時の換金時手数料、信託財産留保額はありません。

 

(2)  運用や取崩し確定申告に手間がかからないこと

わたしが昨年投票したVTなどは、外国に上場されていることもあり配当が日本と外国で2重に課税されており、それの一部を取り戻すために確定申告などが必要でした。

その点、「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」は、日本の投資信託なので特定口座で運用しておけば、放ったらかしにできます。

SBI証券がやっている「投資信託定期売却サービス」と組み合わせれば、年金受給と変わらない感覚で定額取崩しができるでしょう。

SBI証券

 

(3)  ファンドの償還など不測の事態が起こらないこと

世の中に6000本ある投資信託も、時間とともに人気が低迷すれば、人知れず繰上償還され、消えていきます。

投資したお金が失われるわけではありませんが、償還されて戻ったお金を再度何に投資するか頭を悩ませたり、現金で持っていることで無駄遣いしたりするのは避けたいところです。

そんな憂き目に合わないためには、時価総額が十分に大きいことと、特定のテーマに絞られていないことが重要です。

その点、 「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」 は、2013年12月の設定以降、資産の流入が続き、現在の純資産総額は、1,400億円を超えています。

国内の外国株式を対象とする投資信託の中では、純資産残高が頭ひとつ抜けているため、持続可能性が高いと判断できるでしょう。

また、特定のテーマに依存しないインデックスファンドは基本的に規模の経済が成り立つ金融商品なので、純資産残高が増加することで運用経費が低下し、信託報酬の引き下げという形で受益者に還元されるという好循環が働きます。

 

(4)  評価が定まっていること

安心して投資信託を保有し続けるためには、ファンドの歴史や評判も重要です。

「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」 は、安定した資金流入が続いていることに加え、2013年12月の設定以降、0.39%(税抜き)だったコストを段階的に下げ、現在、信託報酬税抜0.0999%と業界最低水準になったことで、投信ブロガーなどから高い評価を受けてきています。

運営しているニッセイアセットマネジメント株式会社は、長い歴史と実績を持つニッセイグループの資産運用会社(株主:日本生命保険相互会社100%)で、十二分に信頼できる会社であると言えるでしょう。

 

まとめ

今回、楽しみにしているファンドオブザイヤーに投票しました。

昨年投票したのと違い、今回は資産配分やコストという投信の中身だけでなく、定年退職者という「資産取り崩しステージに入った個人投資家に最適なのは」という視点を加えて「<購入・換金手数料なし>ニッセイ外国株式インデックスファンド」に投票しました。

さて、「投信ブロガーが選ぶ! Fund of the Year2019」でどのような結果になるのか、今から楽しみです。

わたしも昨年に引き続き参加して楽しんでこようと思っています。

 

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