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定年退職してからは所得税より住民税に注目

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みなさんこんにちは
安井宏@定年退職FPです。

これまでの現役サラリーマン時代、給料から引かれる税金といえば金額の大きい所得税で、住民税は所得税に比べればごくわずかを引かれる存在でした。

年末調整はあっても、何が返ってきてるのかもわからず住民税を意識することは少なかったと思います。

でも定年後は、給料減とともに大きく下がる所得税より住民税のほうがずっと重要です、その理由をお話します。

 

+++もくじ+++

 

1.そもそも住民税とは

税金には国に納める国税と、都道府県や市町村に納める地方税があります。 

地方税は、住民税、事業税、固定資産税、地方消費税、ゴルフ場利用税などです。

そのうち定年退職者が意識すべきは住民税です。

住民税とは、都道府県が徴収する都道府県民税と、市町村が徴収する市町村民税(東京23区は特別区民税)の総称です。

住民税の計算は、所得に応じてかかる「所得割」と、一律にかかる「均等割」を合計したものになり、実際の計算は、所得税同様に各種控除などを計算して課税されます。

 

2.定年退職者と住民税

定年退職者にとって、以下の理由で住民税はとても重要です。 

(1)累進度が低く低収入でも高い負担感

現役時代に、住民税より所得税がずっと高かったのは給料が高かったからです。

所得税でも住民税でも、たくさん収入のある人がたくさん税金を払うという累進制度が取られてますが、その度合は所得税のほうが大きいです。

たとえば、課税される所得金額が1000万円なら所得税の税率は33%ですが、150万円なら5%と激減します。

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No.2260 所得税の税率|所得税|国税庁

 

それが住民税なら所得に応じてかかる所得割額の税率は、一律で10%です。

均等割は一律なので、所得が低いほど住民税の重税感が増します。 

所得割の税率

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均等割額

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 出典:総務省資料

これは、所得税は「たくさん稼いでいる人からはたくさん税金を取る」という考え方なのに対し、住民税はだれでもごみ処理など身近な便益を平等に受けているから「平等に払う」考え方だからです。 

実際は各種控除などがあり支払う税金の額はこのとおりではありませんが、所得税の累進度が高いことは理解いただけるでしょう

このことは、退職後に収入が激減したときに、住民税の負担を大きく感じる原因になります。

 

(2)定年退職後にびっくりする多額の住民税

退職後に、最初の年に払う住民税はかなり多額となります。

所得税は所得に応じその年に課税されるのですが、住民税は「前年」所得にかかります。

したがって定年退職して収入が激減しても、退職前年の所得をもとにした多額の住民税が課せられ、その金額にびっくりすることになります。 

現役サラリーマンは、毎月の給与から住民税が天引きされているので、納税した実感がないでしょうが、退職して無職になれば自分で支払い手続きを行うことになり、さらに重税感を感じてしまいます。

 

(3)年金受給者の住民税

年金生活に入ると、総収入が減り年金の金額が少なく、そもそも非課税になる人も出てきます。

厚生年金をもらう退職サラリーマンの場合、多くの人は年金から「年金特別徴収」というサラリーマンの源泉徴収に似た仕組みの天引きで、所得税や住民税が引かれます。

年金は、偶数月に2ヶ月分づつ振り込まれます。

仮に4月から年金生活に入るとすると、4月の年金は住民税の控除が間に合わないので、そのまま振り込まれます。

ところが、次の6月と8月には多めに住民税がかかります。

これは、ここまで述べたように住民税は前年所得に対し課税され6月から徴収されるからです。

年金の場合、年間の住民税を年6回の年金支給に合わせて控除されるのですが、最初は4月の控除ができないので、6月と8月に住民税額の3/12ずつの納税になるので、金額の大きさに驚くことになります。

ただ、10月以降はずっと2/12ずつの徴収になるので、少し安心して下さい。 

 

3.医療介護の負担に連動

定年退職世代が住民税をもっとも気にしないといけない理由は、住民税が税金の支払いだけで完結せず、高齢になればお世話になることの多い医療費や介護の自己負担と連動するということです。

どういうことかと言うと、医療費や介護といった社会保障は誰もが受けれるように所得の低い人については負担が少ないような仕組みになっています。

その所得が低いというのは、皆さんがお持ちの株式や不動産といった資産ストックではなく、毎月毎年入ってくる給与や年金というフローの収入が元になっています。

医療や介護の担い手である市町村が、そのフローの収入を把握する手段が住民税の徴収の情報です。

従って住民税を多く払うということは、医療や介護についても自己負担能力が十分にあるということで、応分の負担をしないといけないというわけです。

 

医療・介護の自己負担の額は、収入によって左右されますが、それを決める仕組みは複雑で、しょっちゅう変わるので覚えるのは無駄です。

「現役並み所得」と認定されれば負担が大きくなるとだけ覚えておいてください。

そしてその現役並み所得の判定をする元になるのが、住民税の計算の仕組みだということを理解しておいてください。

なお、自己負担額についてさらに詳しく知りたい方は、生命保険文化センターのホームページなどが便利です。

 

4.住民税を安くする方法

日本の税制は原則として、納税者自らが自分の所得や税額を計算し、納付する「申告納税方式」をとっています。
しかし、住民税の課税方法は、賦課課税方式といって市町村が税額を計算して確定する方法なので、通常は所得税の確定申告のように、自分で申告する必要はありません。

しかし、あえて申告するなど工夫次第で住民税を安くすることが出来ます。

 

(1)ふるさと納税

ふるさと納税というのは、どこかの自治体に寄付をするとお礼の特産品をもらえて、さらに税金も控除されるという非常にお得な制度です。

自己負担が2000円かかりますが、特産品などのお礼の品をもらえれて税金が安くなるのです。

イメージとしては10万円寄付したら税金が98000円安くなり、さらにお礼として米や肉などの特産品がもらえる。

1万円寄付したら税金が8000円安くなり、やっぱりそれに応じた特産品がもらえる、そういう制度です。

ニュースなどでは国の指導に自治体が従わないなどと、いろいろ批判もありますが、国が定めた制度なので悪いことしてるわけではありません、遠慮なく利用しましょう。

寄付先や御礼の品などを選ぶのは面倒に思うかもしれませんが、近年は さとふる などのポータルサイトが充実しているので、それを利用すれば簡単です。

 ・さとふる 公式サイト

 

(2)株や投資信託は特定口座でほったらかし

定年後の生活で身近になる、国民健康保険料や後期高齢者医療制度の保険料を判定する上での所得とは所得税の所得ではなく住民税の所得です。

株式の配当や投資信託の分配金は、NISA口座なら非課税ですが、それ以外は特定口座で申告不要制度を選ぶのが賢明です。

配当や分配金につき確定申告を行うと、申告不要制度より税金が減る場合もありますが、それによって収入が市町村に通知され、医療や介護などの負担が上がる可能性があります。

なお、2017年度の税制改正によって「所得税は総合課税・住民税は申告不要」という課税方式を選べるようになったので、手間を惜しまないのであればさらに節税可能です。

 

(3)受けられる控除はもれなく受ける

確定申告書を提出すればその情報が税務署から市町村に伝わるのでその情報をもとに市町村が住民税の計算をします。

しかしながら、確定申告をしていなかったり、確定申告の際の医療費控除申請などを忘れていると、結局住民税も多く払うことになります。

住民税でポピュラーな控除といえば、配偶者控除、配偶者特別控除、医療費控除、生命保険料控除、地震保険料控除などです。

忘れずに申告して、少しでも住民税を減らしましょう。

 

(4)年金繰り下げは慎重に

最近国は年金の受け取りを65歳から後ろに繰り下げをすれば、年金の金額が増えるということで年金受給の繰り下げを勧めています。

またファイナンシャルプランナーなども、それを勧める方がいますが慎重に考えた方がいいでしょう。

年金の金額だけを考えれば、言うまでもなく繰り下げをすれば金額は増えていきます。

しかしながら、①年金受給までの間は自分の資産を取り崩して暮らさないといけないこと、②年金の金額が上がればそれに伴って所得税や住民税が上がり、③住民税が上がればさらにそれに連動して社会保険の料率が上がったりします。

数字を現在示しても、年金や税制はコロコロと変わるので一般論でしか言えません。

しかし、年金を繰り下げるのは政府が言うほどにはお得ではないので、収入や資産の状況などを考えて、慎重に繰り下げをの可否を決めるべきです。

 

5.まとめ

住民税は所得税に比べて収入が大きくなった時に急速に増えるいわゆる「累進性」の度合いが小さく、収入が年金など少なくなった時には所得税より住民税の方が大きく効いてきます。

そしてここが重要なのですが、住民税の金額、正確に言えばそれの基礎となっている合計所得金額と、これから歳を重ねるにつれお世話になる医療・介護などの自己負担が大きく連動しているということです。

定年後のこれからの生活の中では、住民税を意識して住民税が安くなることを考えること、イコール医療介護の負担が安くなることにもつながります。

 

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