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あなたが亡くなった後の配偶者の生活保障、遺族年金を知ってますか

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。

老後2000万円問題で、若い人たちにも年金について関心が高まっているようですが、公的年金は損得だけでは語れません。

老後にもらう老齢年金以外に、配偶者が亡くなった後に遺族の生活が困窮しないための保障として遺族年金の制度があります。

今は元気な夫婦でも、いずれ一方が亡くなるのは確実で、残された遺族が困窮せずに生活できるのかは重要です。

意外と知られていない遺族年金の姿を紹介します。

 

+++もくじ+++

 

遺族年金とは配偶者の生活保障機能

損得だけでは評価できない年金 

老後2000万円問題が注目された現在、年金と言うと誰もが老齢になった時もらえる老齢年金のことを考えますが、公的年金にはもう一つ、万一の時の生活を保障する機能があります。

一般の年金と異なり、遺族年金は非課税で、まさに夫婦のうちの片方が亡くなった時の遺族の生活保障です。

つまり、年金問題を考えるときには老後もらえる老齢年金だけでなく、遺族年金の制度も知っておく事が重要です。

 

遺族年金も2階建て 

日本の公的年金制度が、国民年金(基礎年金)と厚生年金の2階建てになっていることはよく知られていますが、遺族年金についても「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」の2階建てになっています。

「遺族基礎年金」と「遺族厚生年金」は、亡くなられた方の年金の納付状況などによって、いずれかまたは両方の遺族年金が受給できます。

 

知っておきたい2つの真実

年金は男女不平等 

一部の医学部が入試で女子受験生の合格者を減らす操作をしていたことが社会問題になったように、今の日本社会では男女平等は当たり前です。

しかしながら、公的年金の制度では女性の方が著しく有利になっています。

昨今の社会情勢に合っているかどうかはともかく、これまでのところ多くの場合、残された遺族が女性である場合が多いのも事実で、男性が主たる家計の担い手であるという考え方のもと、残された妻の生活を重視した公的年金制度の設計になっています。

とはいえ、平成26年4月に制度が改正され、生計を担っていた妻が亡くなった場合には、夫も遺族基礎年金が受給できるようになるなど、徐々に男女平等に近づきつつあります。

 厚生労働省でも時間をかけて制度上の男女差を無くす方向で、検討が進んでいるようです。

 

超高齢者は女性ばかり 

実際のところ、長生きするのは女性で、日本の人口動態を見れば超高齢者は女性ばかりです。

人口推計によれば、全年齢なら男女比はほぼ同一で、男性1人に対し女性は1.06人です。

ですが、高齢になればなるほど差が開き、85-89歳では男性1人に対し女性は1.84人です。

90-94歳では男性1人に対し女性は4.33人にもなります。

さらに、現在の高齢者が結婚した昭和の時代では、男性は年下の女性と結婚するのが一般的だったこともあります。

そんな理由もあり、厚生労働省の遺族年金受給者実態調査によれば、遺族年金の受給者は男性1.6%、女性98.4%と、ほとんどが女性となっており、その平均年齢は78.1歳です。

 

2つの遺族年金と受給要件・支給金額

遺族基礎年金と遺族厚生年金では受給のための要件がかなり異なり、遺族厚生年金の方が手厚い制度になっています。

遺族基礎年金

遺族基礎年金の制度では、死亡した者に生計を維持されていた18歳の年度末までの子供のある配偶者、または18歳の年度末までの子供が遺族基礎年金を受け取ることができます。

年金額としては780,100円に子供の加算を加えたものです。

子供の加算は、第1子・第2子の場合は224,500円、第3子以降は74,800円となります。

遺族基礎年金をもらっている人の平均額は、月額で88,073円です。

 

遺族厚生年金

受給範囲と計算方法

遺族厚生年金の場合は、死亡した者によって生計を維持されていた、妻(子供の有無に関わりなく)18歳の年度末までの子供、さらに孫や55歳以上の夫、父母、祖父母などがもらえます。

特に妻に子供がいない場合、遺族基礎年金の受給資格はありませんが、遺族厚生年金であれば子供のいない妻も原則終身受給できます

ただし、30歳未満の子供のない妻だけは5年間の有期の給付となります。 

受給できる遺族厚生年金の金額については、基本的には夫が受けていた報酬比例部分の年金額の3/4です。

よくある誤解は、妻が自分の年金に加え、夫の年金額の3/4を貰えると思い込んで豊かな後家生活を夢見ている例です。

残された妻は、自分の老齢基礎年金と夫の報酬比例部分の3/4しかもらえないので「思っていたほどもらえない」とがっかりしないよう正確な知識を持ちましょう。

日本年金機構のホームページの中に詳しい計算式が記載されているので、詳しく知りたい方についてはそれで計算するのがいいでしょう。

 

中高齢加算

遺族厚生年金で特筆すべきは、中高齢の加算があることです。

夫が亡くなった時に40歳以上65歳未満で生計を同じくしている子がいない妻の場合、40歳から65歳になるまでの間585,100円が追加で支給されます.

遺族基礎年金を受けていた妻が、子供が18歳になって遺族基礎年金を受給できなくなった時も同様です。

遺族基礎年金は夫も妻と同じように受給できたのに対し、遺族厚生年金は妻を亡くした夫が55歳未満の場合は受給することができないので注意が必要です。

 

夫を亡くした妻の年金額は15万円程度

遺族厚生年金の受給額は、それまでの報酬に比例するためバラツキは大きいものの、統計によれば月額で84,184円です。

サラリーマンを退職したシニア夫婦で、夫に先立たれた場合には、上記遺族厚生年金と妻の老齢基礎年金をあわせて、約15万円が毎月の年金収入になる計算です。

国の家計調査によれば、60歳以上の単身世帯の1ヶ月の消費支出は148,358円なので、

残された妻が贅沢はできなくとも困窮しない程度の公的年金がもらえることがわかります。

 

共稼ぎ夫婦の注意点

ここにもある専業主婦との不公平

これまで述べてきたように、遺族年金の制度は夫が家計の大黒柱で妻が専業主婦のケースを想定して考えられています。

しかしながら近年女性の社会進出が進み、とりわけ厚生年金に加入しながら働く妻が増えてきています。

公的年金に関しては、厚生年金を支払いながら働く女性から「専業主婦が掛金を払わないのに年金がもらえるのは不公平(3号問題)」という批判があります。
しかし、遺族年金においても厚生年金を払った女性が有利にならない問題があることは知っておいたほうが良いでしょう。

 

年金の減額幅が大きくなる

夫婦で厚生年金に入って共稼ぎすれば、65歳を過ぎれば、夫も妻も自分の基礎年金に自分の報酬比例の厚生年金を加えてもらえるので、夫婦ともに生存中は比較的豊かな老後生活が実現します。

しかしながら、そこで夫が死ぬと、夫の老齢基礎年金部分がなくなるだけではなく、妻は自分の報酬比例部分の厚生年金と夫の報酬比例部分の年金の3/4の金額を比較して、有利な方をもらうことになります。

遺族厚生年金と老齢厚生年金を受ける権利がある人の場合は、自分の老齢厚生年金をまず受給して、遺族厚生年金は老齢厚生年金に相当する額が支給停止となりますというのが正しい説明ですが、大まかには「自分の老齢基礎年金」+「夫の報酬比例部分の3/4」の額と思って間違いないでしょう。

多くの場合、夫のほうが現役時代の所得が大きいことから、夫の報酬比例部分の年金の3/4相当を選択し、自分がかけてきた厚生年金が実質的に無駄になります。

そんなこともあり、専業主婦のケースより共稼ぎの夫が死んだ場合の年金額の減額幅が大きくなるので注意が必要です。

 

年金受給の繰り下げは不利になる可能性が高い

政府は「受給を繰り下げれば年金が増える」として、盛んに年金の繰り下げを奨励しています。

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出典:ねんきん定期便

しかし共稼ぎ妻が、夫の死後夫の報酬比例部分の3/4を受給することを選択した場合、自分のこれまで保険料を納めてきた報酬比例部分の厚生年金は受給できなくなり、いわば掛け捨てになってしまいます。

そのため女性の厚生年金の繰り下げについては慎重に考えるべきでしょう。

夫の方が先に死んだ場合に、夫の報酬比例の3/4を選択することが想定されるならば、妻は厚生年金の繰り下げはしないほうが良いでしょう。

例え繰り下げを場合でも基礎年金部分だけの繰り下げに止め、65歳から老齢厚生年金を受給し、夫婦で存命中の生活を楽しんだほうが得になります。

 

まとめ

これまで紹介したように、日本の公的年金制度は非常に充実しています。

日本人は生命保険が大好きで、「自分が死んだ後、残された妻のため」と言って高額な生命保険に加入している妻思いの夫が多いようです。

しかし、まずは遺族年金の制度があることを理解してから保険に入るかどうか決めるのがおすすめです。