みなさんこんにちは
安井宏@定年退職FPです
超高齢社会において誰もが抱えるリスクに介護のリスクがあります。
その資金手当の手段の一つが公的な介護保険ですが、一方でそれでは足りないので民間介護保険が必要だという声もあります。
保険会社のセールストークではなく、本当のところどの程度の費用がかかって、それにどの程度の備えが必要なのでしょうか。
生命保険文化センターの調査によれば、 一時的な費用は平均で約80万円、月々の費用は約7.9万円で、介護を行なった期間は、平均4年11ヶ月となってます。
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介護からは誰も逃れられない
年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合は、年齢を重ねるにつれ上がっていきます。
年代別人口に占める要支援・要介護認定者の割合
厚生労働省「介護給付費実態調査月報」、総務省「人口推計月報」の各平成29年6月データ
http://www.jili.or.jp/lifeplan/lifesecurity/nursing/2.html より引用
例えば65から69歳であれば、年代別人口のわずか2.9%が要支援要介護の認定者です。
それが80から84歳になれば28.2%と3人に1人となってしまいます。
さらに85歳以上となればその割合は60%にもなり、長生きすれば介護からは誰も逃れられないというのが現実です。
その現実を受け入れてお金の準備を考えてみましょう。
思ったほどには金がかからない
生命保険文化センターが調査した内容をまとめた、生命保険に関する全国実態調査によれば、要介護状態になった時に必要だと思う初期費用は約250万円です。
しかし、実際に必要になった金額は約80万円で必要だと思う金額の3割にしかなりません。
次に毎月必要になると思う費用については16.8万円、実際にかかった金額は7.9万円です。
介護については大きな金額が必要と予想されていますが、実際には予想していた金額の半分以下で成り立っています。
月に7.9万円であれば、通常の生活と変わらないレベルなので、あえて保険で備える必要があるか疑問です。
どうしてこうなるかというと、医療と同じく公的な介護保険が充実していることが大きいでしょう。
介護に必要な保障を考えるのであれば、まずは公的介護保険による具体的なプランを先に考えて、どうしても不足と考えてから民間の介護保険を考える方がいいと思います。
施設介護の種類と費用について
介護と言えば自宅で介護をするほか、介護施設に入って介護をする場合もあります。
また、一口に介護施設と言ってもたくさん種類があります。
一番有名なのは特養と呼ばれる特別養護老人ホームです。
措置入院という公的な性格があるため、地方公共団体が直接を運営するか、または社会福祉法人が運営することが通常で、また介護度の高い要介護3以上の人しか入居できないという特徴があります。
一方、介護付有料老人ホームという形態は、ニチイ学館などの株式会社が運営するものです。
ケアハウス(軽費老人ホーム)というのは身寄りがないか家族との同居が困難などの条件を満たす人が比較的安い料金で利用できる入所施設であり、その他、介護老人保健施設(老健)やグループホームなどもあります。
このような入所施設で過ごすためには、介護保険の自己負担・食費・居住費・日常生活費・そして施設の管理費用が必要になってきます。
一見高額に見えたとしても、そういったものが全て含まれていますから、普通に生活してもそれなりの費用がいるので、大差はないかもしれません。
介護付き有料老人ホームも入居一時金が有りと無しの場合があり、一時金がある場合多いときには1億円近くに達し、入居時に大きなお金が必要になる、
いずれにしろ介護に多額のお金がかかるというのは、介護付き有料老人ホームに入所して長期間いる場合だけであり、 費用がかかるというより、費用をかければここまでかかると考えたほうが良さそうです。
介護施設に入る前のケア
要介護の話をしましたが、人はいきなり要介護状態になるわけではありません。
要介護の手前から行政が提供する介護予防プログラムに参加するなどをして、できるだけ元気に暮らすことが重要です。
そして要支援や要介護になってもいきなり入所するわけではなく、自宅から通所したり逆に自宅に訪問してもらい生活を継続するのが普通です。
自宅での介護に限界が来て初めて、いよいよ入所施設に入所するという流れが一般的です。
まとめ
いかがでしたか。
介護からは誰も逃れことが出ることができません。
介護に備えるポイントは、公的な介護保険を含む公的サービスをどのように使うかをよく考えることです。
公的介護保険などのサービスは思いのほか充実しており、通常であれば大きな負担をすることなく、介護をやり遂げることができそうです。
民間の介護保険を考える前に、「必要なかかる金額」と個人や家族の希望で「かける金額」が違うということを認識しましょう。
そのうえで、かける金額が必要であれば、万が一に備える保険よりもしっかりと金融資産を積み上げた方がお得ではないでしょうか。
お金には色はついていません、金融資産を積み上げていれば介護が不要だった時には自分の楽しみに使うことも、遺産として次の世代に引き継ぐこともできます。