みなさんこんにちは
安井宏@定年退職FPです。
わたしは最近、神戸市中心部のマンションから郊外に引っ越したところ、家賃プラス駐車場料金が半額になりました。
定年後に過剰な節約でみじめな生活はしたくないはず、現役時代とちょっと発想を変えれば豊かな老後生活が待っています。
そのカギは家の住みかえです。
+++もくじ+++
- 1. 固定費見直しが一番の家計費節約
- 2. 定年後移住のおすすめ
- 3. 自分の住まいを見直そう
- 4. ライフスタイルの変化をマネタイズ
- 5. 老後は家を借りれないは不動産屋のセールストークです
- 6. 引っ越しの注意
- 7. いまの住まいは終の棲家ですか
- 8. まとめ
1. 固定費見直しが一番の家計費節約
経済コラムニストの大江英樹さんが書いてますが、「節約」と「無駄をなくす」ことは違います。
今朝のダイヤモンドオンラインに書いた記事です。「節約」と「無駄をなくす」ことは違うというお話です。
— 大江英樹 (@officelibertas) December 9, 2019
上手に節約できて我慢や無理をしなくて済む「極意」とは | 自分だけは損したくない人のための投資心理学 | ダイヤモンド・オンライン https://t.co/Ari7tfkLBl
一般論として、定年後は収入が減ってしまうため家計を見直して、低コスト化する必要があります。
しかし節約しすぎるのは惨めなものです。
本を買う金を惜しんで図書館に通い、新聞を定年退職者で奪い合うというのは子どもたちに見せられない姿です。
家計費の中でも、住居費は最大の固定費なので、発想を変えてここを見直せば大きく老後の生活費を下げることができます。
2. 定年後移住のおすすめ
(1) 地方移住より、郊外住まい
都会ぐらしの人たちのあいだで地方への移住がブームです。
人口減に悩む自治体の熱意などもあり盛り上がってますが、濃密な人間関係などに悩み再び都会へ戻るとの話も聞きます。
むしろ1時間程度で都心部へ行ける郊外、かつてのニュータウンが狙い目です。
そこにはかつて「いつかは郊外の一戸建て」を夢見たサラリーマンが建てた中古物件が破格の値段で賃貸市場・中古市場に出ています。
都心の職場まで「ちょっと無理すれば通勤できる」距離ですが、共働きが当たり前の今の若い世代には見捨てられてはいます。
海外移住を考える人も多いですが、為替動向次第では暮らせなくなるリスクもあり、利便性や言葉が通じること、何より高齢者の特権である日本の充実した福祉制度が使えることを考えれば、地方への移転を考えるのが得策です。
東京や名古屋・大阪といった大都市の中心部から、郊外地域へ引っ越しをするのです。
日本にいる限り、食品や 映画館などのエンターテイメントの価格は都心部と郊外でそれほど大きな差はありません。
しかし劇的に差があるのが住居費です。
賃貸物件を借りるにしろ、住宅を購入購入をするにしろ、都心部と郊外ではものすごく大きな差があります。
郊外移住によって「生活の水準を下げることなく」定年後の生活費を 大きく削減することができます。
(2) 限界集落になりそうなら早めの脱出を
また、これは逆の話ですが限界集落に近づいてきているような過疎地域に住んでいる人は、まだ元気な間に医療や買い物に便利な 郊外地域に引っ越しをするのが今後のことを考えればいいでしょう。
歳をとってからバスで病院に通ったり買い物難民になるのは大変です。
また雪がたくさん降る地域では高齢になってからの雪かきなどは大変です。
暖房費冷房費のことも考えれば、比較的気候の安定した地域を住み替え先に選んだ方がいいでしょう。
何にしろ 住み替えるというのはかなりエネルギーのいる話なので、定年直後の時間も元気もある間に実行するのがおすすめです。
3. 自分の住まいを見直そう
元サラリーマンの人は、退職とともに時間の使い方が大きく変わったのではないでしょうか。
以下の項目を見て、当てはまるものがあれば住まいの見直しで、定年後生活の改善が可能かもしれません。
- 職場への通勤時間を重視して今の家を選んだ
- 子供の教育環境を重視して今の家を選んだ
- 会社の家賃補助の上限いっぱいまでの物件を借りた。
- すでに独立した子供の部屋をそのままにしている。
- 趣味の道具を置くため貸倉庫を利用している。
- 駐車場代に2万円以上支払っている。
- 退職金で住宅ローンを完済しようと思ってる。
- 郵便受けに入る不動産屋のチラシが気になる。
- 空き家になった親の家を管理している。
- 今の家は駅からバス便で不便だ。
4. ライフスタイルの変化をマネタイズ
上記に当てはまるものがあれば、工夫次第で収入増やコスト削減が可能でしょう。
不動産は2つとして同じものがないので、やり方は様々ですが、少し勉強すれば可能性が見えてきます。
例えば、通勤に便利な都心に家を持っているなら、そこは賃貸に出し自分は郊外に住めば不動産賃貸収入を得ながら生活コストを下げられます。
そこに住宅ローンが残っているなら利息を経費にして税金を節約できるでしょう。
使わない部屋や駐車場があれば貸し出して臨時収入を得られるかもしれません。
最近はakippaやAirbnbなど所有物件を簡単に人に貸し出すことができる仕組みがあります。
親の家など、今後負債になる可能性が高いものは、今後ますます処分しづらくなる前に処分しましょう。
いずれ老人ホームに入居することが、視野に入ってるなら住み替えを気に家財の断捨離し今後かかるコストを削減しましょう。
5. 老後は家を借りれないは不動産屋のセールストークです
よく持ち家を購入する理由に挙げられるのが「歳を取ると大家が不安がるから家を借りられない」との話。
だから「持ち家を購入しましょう」と、営業トークは続くのですが、本当でしょうか。
もちろん大家さんも働き盛りで孤独死も滞納も心配のない人に貸したいのは山々です。
しかし大家さんも貸し手が現れなければ収入がありません。
現代の日本では世帯数を家の数が上回る状況になっており、都心・駅チカの人気物件でなければ贅沢を言ってられません。
家を貸す場合には保証会社の利用と家財保険加入が一般的ですが、最近では住民の孤独死を心配する大家のために家主向け保険なども出てきており、高齢者に家を貸しやすくなっています。
私が常々尊敬しているブロガーのちきりん氏も著書「賃貸か購入か ちきりんキンドル・リノベシリーズ」で、1章を割いて「高齢者は本当に部屋を借りられないのか」を論じています。
そして、「将来が不安だから」という理由で家を買うのはお勧めしないというのが結論となっています。
また、不動産業者の本音のぶっちゃけトークでベストセラーとなった「業界で噂の劇薬裏技集 不動産大技林」でも「台風、火事、地震、金利の急上昇、愉快なお隣さん、人口減少による地価下落・・・数え切れないほどのリスクを賃貸なら全部大家さんが負担してくれます。家賃もったいない教は不動産屋の陰謀。賢い人はみんな賃貸。」と書かれています。
実際のところ、最近賃貸物件から別の賃貸物件に引っ越した62歳のわたしも、連帯保証人なしの保証会社利用で何の問題もなく賃貸住宅を借りられました。
6. 引っ越しの注意
郊外への移住が決まれば次は引越しということになります。
たくさんある引越し業者の中から会社を決め、引っ越しをするわけですがこれにはいくつかコツがあります。
複数の会社から見積もりを取って安いところと契約するというのは誰もがやっているでしょうが、定年後のあなたにとってはもっと良い方法があります。
それは現役サラリーマン達と違い、時間の余裕をいかしてまず繁忙期を外すことです。
1月から5月あたりを外せばかなり安くすることができます。また月の後半より前半が空いています。
引越し業者によっては、ホームページで繁閑のカレンダーを公開しているところもあります。
さらに、時間指定をせず朝引っ越しをした別のトラックで午後引っ越しをするという「午後便」利用すればかなり節約ができるでしょう。
繁忙期を外すメリットはお金だけではありません。
繁忙期の作業員は不慣れなアルバイト多く、家具を傷つけたりトラブルが多いですが、閑散期であれば社員中心の引っ越しとなり、彼らのスキルはアルバイトよりはるかに高いので満足度の高い引っ越しができます。
引っ越しにあたっては複数社の見積もり比較だけではなく、時期を味方につけてお得で丁寧な引っ越しをしてもらいましょう。
7. いまの住まいは終の棲家ですか
無事引っ越しができたとして、その家はあなたが死ぬまで住める終の住処かなのでしょうか。
定年後の余命は20-30年程度です。あなたはいまの自宅で死を迎えられるでしょうか。
現在の日本では、自宅で亡くなるというのは少数派で、病院あるいは施設で亡くなる方が大半です。
余命ということで言えば20年30年の時間があるかもしれませんが、人に頼らず元気に過ごせる健康寿命というのは意外と短く、例えば60歳男性であれば10年ちょっとしかありません。
従って今回転居した家で最期を迎えられるというのはかなりラッキーだと考え、柔軟に対応できるように考えておきましょう。
場合によっては 介護施設や、そこまで行かなくてもバリアフリーで介護サービスへのアクセスが良いサービス付き高齢者住宅などへの引っ越しも可能性だけは考えておきましょう。
8. まとめ
定年後に、生活水準を落とすことなく家計支出を劇的に改善する方法として、郊外移住を紹介しました。
いずれにしろ 様々な知識を持ち、柔軟に行動することがこれからシニアが豊かに暮らすためには必須です。