わくわく定年退職ライフ

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定年後の健康診断や医療をFPの視点で考えてみた

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。

サラリーマン時代は会社から言われるまま健康診断を受けていたのではないでしょうか。

これは会社などの雇用主は、労働安全衛生法で従業員に健康診断を受けさせる義務があるからほぼ自動的にこれを受けていたと思います。

定年後は、全く受けない人あるいはとことん受ける人など様々ですが、健康診断を自費で受けるようになる、あるいは継続的に働いているところで受ける場合にどのようなことを考えたらいいでしょう。

実はわたしは、先日職場の健康診断を受けました。

受診自体は働く人の義務なので仕方がないのですが、様々なオプション検査自費有料で受けることができるのですが私は一切受けませんでした。

それはなぜかと言うと、貴重なお金はもちろんのことですが、偽陽性過剰診断などにより、貴重な定年後の元気な時間とお金を無駄にしたくなかったからです。

医療者とは違う、ファイナンシャルプランナーの視点で健康診断や定年後の医療を考えてみました。

 

+++もくじ+++

 

1.健康診断の有用性に疑問が投げられるようになってきた

最近になって健康診断、とりわけがん検診などが役に立たないという声が聞こえてます。

それは、疑いのある人を広く拾い上げる「偽陽性」や、治療しなくても症状を起こしたり、死亡の原因になったりしない病気を診断する「過剰診断」の害が知られるようになったことです。

また、がん検診で命の助かる人が、ごく僅かであるとの事実が知れ渡ってきたことによります。

わたしがこのことを深く考えるようになったきっかけは、「反原発」の不都合な真実(新潮新書)の著者として有名な藤沢数希氏(@kazu_fujisawa)氏のtwitterでした。

いうまでもなく健康や医療に関する情報を判断する場合、Twitterなどの情報ではなく、厚生労働省、国立研究所、大学など権威ある正しい情報に辿り着くのが賢明です。

例えば、がんについては、国立がんセンターのがん情報サービスが無料で信頼できる情報が得られます。

書籍については、たとえ医師が書いたものでも信用できないものが混じっていますが、わたしが読んだ中では下記の書籍が優れていると感じました。

 

2.健康診断のメリット・デメリット

健康診断は受けるだけなら何も害はないだろうということで、多くの人がたくさんのお金を払って、多数の項目のオプション検査を受けます。

しかし検診には害があることが知られるようになってきた現在では、健診の害よりも利益が上回るものだけを受けるようにするのが合理的です。

健康診断を受ける時には役に立たない余分な検査をしてしまうこと、また間違った診断をされることによって、その後苦痛のある検査をしてしまうことがあります。

この過剰診断と言われている部分を避けるのは簡単です。

科学的な方法によってがん死亡率の減少が検証され、結果的に国が推奨するがん検診だけを受け、余計な検査をしないことです。

国の推奨するがん検診は次のとおりです。

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出典:厚生労働省 

国立がん研究センターのがん情報サービスでは、がん検診ではメリットだけではなくデメリットがあることを詳しく説明されています。

国が推奨するがん検診は5種類です

がん検診は、科学的な方法によってがん死亡率の減少が検証されています。国が推奨するがん検診は次の5種類です。

として、

・ 胃がん検診
・ 子宮頸がん検診
・ 肺がん検診
・ 乳がん検診
・ 大腸がん検診

が、紹介されています。

公的機関のサイトなので、表現は控えめですが、逆に言えばこれ以外の検査は、メリットよりデメリットが多い、またはどうだかわからないということです。

医療のサイトですので、お金のことは書いていませんが、無駄な健診には無駄なお金が費やされることは、言うまでもありません。

効果がわからない検査を、偽陽性・過剰診断のリスクを取って行い、さらに確実にコストだけはかかるというのでは、ファイナンシャルプランナーでなくとも避けるのが懸命なことがよく分かるでしょう。

なお、この話は健康人を対象とした話で、何らかの症状がある人は健診の機会を待たずに、すぐに病院に行ったほうがいいのは言うまでもありません。

 

3.盛況な健康診断ビジネス

最近は検査の手段は次々と発展し、健康診断にオプションで様々な検査がすることができるようになりました。

健康診断を受ける時には役に立たない余分な検査をしてしまうと、間違った診断をされることによって、その後苦痛などのある検査をしてしまう過剰診断リスクがあります。

がん検診などでは、科学的な方法によってがん死亡率の減少が検証され、結果的に国が推奨しているがん検診だけを受け、余計な検査をしないことが重要です。

わたしが最近健康診断を受けた施設でも高額の様々なオプション検査が提案されましたが結局何も受けずに終わりました。

言うまでもなく、検査が多くの偽陽性を生み過剰診断のリスクが有ることが主たる理由ですが、これにより寿命を伸ばすエビデンスがないことに加え、お金が減ることだけは確実だからです。

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自治体や職場が提供する「無料」の健診で病院に誘い、高いオプション検査を売りつけるというのは、どこかで聞いたビジネスモデルですね。
そう定年退職者なら身に覚えのある「金融機関の退職者向け無料相談」です。

老後不安を煽り、手数料の高い(金融機関が儲かる)投資信託を売りつけるのと同じパターンです。

 

4.適正医療への模索が始まっている

健康のためだと言って、がん検診などに過剰にお金をつぎ込むのが賢明でないことはおわかりいただけたと思います。

これに関連しますが、実は健康診断以外の医療分野でも無駄な医療をやめようという動きが広がっています。

良かれと思って施された医療が、実は患者のためになっていない。そんなケースが増えてきたことの反省から、無駄で不利益をもたらす医療行為を学会がリストアップし始めています。

米国発の「チュージング・ワイズリー(Choosing Wisely)」と呼ばれる運動で、本家 Choosing Wisely のサイトでは、様々な有用なリストが提供されてますが、残念ながらすべて英語です。

日本では Choosing Wisely Japanという団体が立ち上がっています。

そのコンテンツの一例は以下のとおりです。

抗菌薬が必要なとき、必要ではないとき
変形性膝関節症の治療-サプリメントは効かない
大腸内視鏡検査について-必要な場合と必要でない場合-
子どもの視力ケア 必要なとき、必要でないとき
腰痛の治療-適正な床上安静の期間とは?

https://choosingwisely.jp/resources/

 

5.結局、定年後はどうすれば良いのか

定年後は無駄なストレスは抱えたくないものです。

またメリットよりデメリットの大きい検診に大きなお金は払うのは全くの無駄です。

結局のところ合理的に考えれば、公的に推薦をされている5つのがん検診だけ限定的に受けるべきで、多くの場合自治体などで無料で受けることが出来ます。

そんなことを言うと、希少ながんなどになった時はどうするんだと言われそうですが、残念ながらアンラッキーだったと思って余命を悔いのないように生きるかありません。

人間誰もが最後は100%死にます、何らかの形で死ぬんですが私自身は年を重ねて認知症になって妻の顔も分からなくなるよりは、がんで準備をしてから死ぬほうがマシだと思っています。

古代から権力の頂点を極めた人が不老長寿を求めてきましたが、実現はしていません。

分別もある定年退職者の人たちは合理的に考え「二人に一人がなる癌」におびえるより「100%の確率で人は必ず死ぬ」現実を受け止め、残りの人生を有意義に過ごすのが重要ではないかと考えています。

↓ 医者の本音を知りたい人には、この本も面白い