みなさんこんにちは
安井宏@定年退職ブログです。
大学無償化法案が成立し、住民税非課税世帯の優遇が話題になってますが、本当に優遇されるのは定年後です。
制度の歪みがもたらす幸運のことを、黄金の羽根と呼びますが、定年後の住民税非課税は、まさに黄金の羽根なのです。
夫婦二人で親一人を扶養しているとして、年金額が年間246万円以下なら可能性があります。
ポイントは、資産をたっぷり持っていても住民税非課税になれることです。
+++もくじ+++
1. 住民税が非課税とは
住民税には収入に応じてかかる所得割と、誰もが払わないといけない均等割があります。
この両方がともに非課税である状態を住民税非課税と言っており、世帯全員が住民税非課税である住民税非課税世帯は、低所得世帯であるとして様々な優遇制度が設けられています。
収入から必要経費を引いたものを、合計所得金額といいますが、公的年金だけが収入であれば、年金収入から公的年金等控除額を差し引いたものになります。
公的年金等控除額は、受給者の年齢が65歳以上かどうかで異なります。
非課税かどうかの判定においては、合計所得金額が判定に用いられる数字です。
所得割の非課税限度額は、35万円*世帯人数+32万円以下です。
均等割の非課税限度額は住んでいる自治体により異なり東京23区や政令市なら、35万円*世帯人数+21万円以下です。
65歳以上夫婦で親一人を扶養しているとして、年金だけが収入であれば課税所得が126万円(年金収入246万円)以下であれば、住民税非課税に該当することになります。
2. 定年退職後の住民税非課税はお得
上記で、住民税非課税世帯が「思ったほど低所得でない」ことがお分かり頂けたでしょう。
国や自治体の福祉などの助成制度は、住民税非課税世帯を対象にするものが多いため、住民税非課税になれば大変多くの優遇策が用意されています。
最近話題になったのは、大学等の高等教育無償化の対象になるという話ですが、定年後ライフに役立つものが多くあります。
自治体が提供するものが多いので、お住いの地域により差がありますが、以下のような優遇があります。
- 国民健康保険の自己負担額軽減
- 介護保険の負担限度額認定制度で介護サービスの負担が軽減
- 高額医療費制度の自己負担額が減額
- 医療費の窓口負担の減額
- インフルエンザの予防注射が無料で受けれる(自治体による)
- バスや博物館などが無料や割引になったりする(自治体による)
- 障害があればNHK受信料免除
なお、実際の適用には住民税非課税以外の要件が必要な場合もあり、市区町村等の窓口に確認が必要です。
3. 定年後に住民税非課税世帯になる方法
年金受給が始まると、住民税非課税判別の元になる年金額を動かす余地がありません。
しかし、年金額が非課税ギリギリである場合には、早めに年金を受給して1年あたりの年金額をへらすことで、住民税非課税になれる場合もあります。
具体的には、年金を早めに繰り上げ受給すると早くから長い期間もらえる半面、受給額は1ヶ月の繰り上げで受取額が0.5%減額されます。
一般的には、受取額が減るので推奨されていないやり方ですが、非課税のメリットがあまりにも大きいので、年金額や世帯人員によっては採用していい方法でしょう。
4. 定年後の住民税非課税のデメリット
実はデメリットはほとんどないのですが、一番のデメリットは本人のプライドです。
住民税非課税世帯というのは、一般的に「低所得者層」と認識されています。 「輝いていた現役サラリーマン時代と違い今や低所得者になってしまった」と本人のプライドが傷つくのが一番のデメリットでしょう。
5. 年金生活では収入より資産が大切
ここまで住民税非課税化のメリットを解説してきましたが、あくまで非課税かどうかの判定においては、合計所得金額というフローの収入が基準になっていることにお気づきでしょうか。
都心の一等地に高価な自宅を持っていても、多額の投資信託などの資産をもっていても住民税非課税になれるのは、公平性という面でどうかとは思いますが、賢い定年退職者は利用できる制度は積極的に利用すべきです。
株などでは配当が出てフローの収入になりますが、特定口座を利用する申告不要制度を利用することで合計所得とならずにすみます。
6. まとめ
住民税非課税というと、生活保護に準ずる低所得でサラリーマンで定年まで行った自分には関係ないと思っていませんでしょうか。
扶養家族など諸要件を確認し、住民税非課税にできるのであれば積極的に動き、ぜひ「黄金の羽根」を拾って下さい。