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【書評】資産寿命 人生100年時代のお金の「長寿術」(大江英樹 著)

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです

今回ご紹介するのは、講演会講師として人気の高い経済コラムニストの大江英樹さんの著書『資産寿命 人生100年時代のお金の「長寿術」』です。

年金不安に負けない、資産を"延命"する方法を伝授するという謳い文句ですが、大江さんご自身がすでに定年後生活に入っていることもあり、知識の詰め込みだけでない実践的な内容になっています。

老後2000万円問題や年金財政検証などで、老後資金に不安を持つ人が増える中、タイムリーな書籍です。

 

+++もくじ+++

 

1. 背景は老後資金をめぐる不安

2019年は、「95歳まで生きるには夫婦で2千万円の蓄えが必要だと試算」した金融庁の報告書が大炎上し、多くの人が定年後に年金だけでは暮らせないと不安になりました。

また公的年金の健康診断とも言うべき財政検証が発表され、年金に対する関心が高まりました。

大多数のサラリーマンにとって、老後の資金というのは定年前の不安の一番に挙げられる事項ではないでしょうか。

不安の原因は、スバリ「知らないこと」です。

この本では、そんな不安を解きほぐすように丁寧に解説してくれます。

 

2. 本の内容を紹介

(1) 資産寿命

この本では、まずはじめに資産寿命という考え方について書かれてます。

言うまでもなく、人生100年時代と言われる中、単なる寿命だけでなく資産寿命が大切です。

サラリーマンであれば、定年の時に貯金を持っていなくても資産がゼロというわけではないのです。

ほとんど資産がないと言う人は多いのですが、そんなサラリーマンに重要な気づきを与えてくれます。

最も大きな金融資産、それは「公的年金」です。

まず、重要なのが公的年金です。

老後に年金がもらえることは知っていても、それがどれほど大きな金額になるかご存じの方は少ないでしょう。

平均的なサラリーマンであれば、90歳まで生きた場合に受け取れる公的年金の総額は6~7千万円ぐらいはあります。

 6~7千万円、結構な金額の資産を持っていることがわかります。

 

(2) 働いて資産寿命を延ばす

そして、次に紹介するのが「働いて資産寿命を延ばす」ことです。

仮に60歳であっても、そこから働くことを一切止めない限り、その人の人的資本、すなわちお金を生み出す力はゼロではありません。

このパートでは、資産運用などよりも働くことこそが資産寿命延伸の本命であるという、著者の強いメッセージが、具体的な数字とともに紹介されています。

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(3) 収支の管理

支出に対する基本的な考え方について述べてみたいと思います。

資産寿命を延ばすというと、まず収入を増やすことを考えがちですが、それと同じか、場合によってはそれ以上に大切なのが、支出を管理することです。 

 当たり前と思われがちですが、支出をしっかりコントロールする必要性を改めて説いています。

「お金を儲ける」ということではなく、あくまでも「資産寿命を延ばす」ことを優先して考えるのであれば、大事なことは支出をコントロールすることであることを忘れてはいけません。

 

(4) 年金の知識

年金は高齢者の重要な関心事でありながら、複雑さ故に間違った知識が氾濫していることに警鐘を鳴らしています。

まず、年金の本質を誤解している人に向け、

年金の本質は「貯蓄」ではなく、「保険」なのです。

と、説明しています。
具体的な長生きリスクや障害のリスクなども詳しく説明されています。

公的な年金に加入しているということは、民間保険会社が提供している所得補償保険、傷害保険、そして生命保険に該当する保険に入っているのと同じことなのです。
日本は国民皆保険制度ですから、原則は全員がこれらの保険に入っており、様々な不幸に対応できるようになっています。

 

(5) 資産運用

本の最終盤が近づいてきたところで、ようやく「資産運用」の説明が始まります。

いうまでもなく著者は、資産運用のエキスパートです。

その著者が「あえて」資産運用をここに持ってきたところに、「資産寿命を延ばす」ことは必ずしも投資することだけではないという、強いメッセージを感じます。 

ここではまず、金融機関等の不安を煽って資産運用へ誘導する商法へ注意するように促しています。

そして具体的な投資手法については、

大幅に利益を得ることは期待しなくても購買力を維持することを目的にするのであれば、個別の銘柄を研究したり考えたりすることなく、全世界の株式へ国際分散投資することだけでも十分だろうと思います。

と、紹介されています。

これは私のブログなどでもしつこく書いているインデックス投資にほかなりません。

自分の取れるリスクを見極め、その範囲内で低コストのインデックス投信で世界に分散投資するというのがやはり王道なのでしょう。

 

(6) 定年後の実践者の体験を紹介

この本の特色の一つは、お金にまつわる知識だけでなく『私たちの「お金の長寿術」-5人の老後のお金と暮らし』として実践例を紹介しているところです。

定年後の状況は、十人十色で正解があるわけではありません。

この本では基礎的な知識を書くだけでなく、具体的に定年後生活を経験されている5人にインタビューし、その考え方を紹介しています。

 

3. 私の感想

(1)  この本を読んでほしい読者

定年前に十分な資産があり老後安心と思える人は少数でしょう。

この本は、その他大勢の定年後に漠然とした不安を持つ人に最適です。

特に、最後の『私たちの「お金の長寿術」-5人の老後のお金と暮らし』の部分は、先に定年した先輩の意見を5人分まとめて聞ける貴重な機会だと考えます。

十分な金融資産を持たないままに退職年齢を迎えても、公的年金も退職金も、そして何より働ける身体があることに気づかせてもらえる本です。

 

(2) あえて望みたいこと

この本では購買力を維持することを投資の目的にするよう述べており、個人的に大賛成です。

ただ、その方法論として国際分散投資とサラリと述べられているのですが、外国為替についてももう少し突っ込んでほしいところです。

将来もらえる年金はすべて円建てです。

超円安に起因するインフレになっても購買力を守るためには、資産運用部分でもっと外貨比率を上げておくべきと言及が欲しかったと思いました。

 

4. まとめ

だれもが高齢期になると不安なのが老後資金。

私のブログも含め、定年退職者向けの知識はインターネット上に溢れています。

しかし本は、ブログと違ってまとまった知識を体系的に習得できます。

自分の寿命が尽きるまでにお金が底をつき、惨めな老後を送るのではないかと不安な人は多いです。

自信を持って定年後生活へ歩みだすため、まずこの一冊を読んでみることをおすすめします。