わくわく定年退職ライフ

ちょっとのお金の知識で豊かなシニアライフ

定年前、しなくていい5つのこと(大江英樹 著)【シニアFPの書評】

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。

「他人に迷惑をかけなければ何をしてもいい」、これこそ定年後サラリーマンの特権でしょう。

しかしながら、それを邪魔し不安を掻き立てる定年の常識があります。

いわく、「定年後は奥さんを大切に」「夫婦で旅行に行ったり、共通の趣味を」「地域活動や付き合いを大切に」などなど

この定年前、しなくていい5つのこと~「定年の常識」にダマされるな!~ (光文社新書) は、定年前のセカンドライフセミナーなどで勧められる常識に縛られず、気持ちよく定年後を過ごすための本です。

+++もくじ+++

 

1. 著者「大江 英樹」氏について

大江さんは、定年後にだれもが気になるお金の話について、様々な媒体で情報発信されている人気の経済コラムニストです。

定年前後は、退職金や資産運用が気になるもので、多くの方は大江さんの書かれた記事を目にしたことがあるはずです。

もちろんお金に関する知識は素晴らしいいのですが、むしろ注目すべきはご自身が大卒以来38年勤めた会社を定年退職し、その後8年間活動された経験をベースにこの本を書かれていることです。

いわば定年退職の先輩ということで、金融機関の無料セミナーや、定年を経験したことのない経済専門家が書いたのではない、リアルな定年準備本に仕上がっています。

新書版ながら、内容はずっしりありますが、その中からいくつかをご紹介します。

 

2. お金の心配、する必要はナシ!

各種調査では、定年後の不安は「お金」と「健康」が定番なので、本の第1章に掲げられたタイトルにはびっくりします。

お金の専門家である同氏からみて、定年後に不安を持ちすぎる読者に向けての最初の安心材料です。

マスコミを賑わした「定年後2000万円問題」の誤解を解く解説をスタートに、老後生活の柱である年金について詳しく書かれています。

実態は2000万円足りないのではなく、2500万円もお金を持っているであることを解説し、過剰な心配は無用としています。

また、老後資金の柱である年金について、絶対破綻しない仕組みであることや、世界的に見ても多額の年金積立金をもって年金財政悪化に備えていることなどを丁寧に解説されています。

そして、不安にかられて退職金で投資デビューすることを戒めています。

 

3. 夫婦で旅行なんか行かなくてもいい

生涯独身が増えたとはいえ、定年退職世代は未婚率も低かった時代の人なので、定年後を夫婦で過ごす人は多いでしょう。

「定年後は夫婦仲良く」の義務感や、仕事人間だったことの罪滅ぼしなどで、定年後に一緒に旅行を計画する夫は多いようです、しかし

一般的に世の中で流布されている「定年後の夫婦のあり方」については、私から言わせると、どうもステレオタイプな発想の域を出ていないような気がしてなりません。

とあるように、夫婦は様々。

パターンが決まってるわけではないので、~べき論で考えるのは間違っていると著者は説きます。むしろ、

妻が夫に願うのは「放っておいてほしい」ということです。もう少し丁寧に、そして上品に言えば、「私の世界を尊重してほしい」ということなのです。

要は妻の世界を尊重しないといけないということです。

夫婦仲良くはもちろん悪いわけではないですが、定年後については一定の距離が必要ということで、

夫婦間に必要な「精神的ソーシャル・ディスタンス」

 なるほどと感心してしまいました。

 

4. 趣味がなくても一向に平気!

もともと趣味があり、仕事で趣味の時間が取れなかった人にとっては、定年は「待ってました」でしょう。

しかし、無趣味な会社人間が、定年を機に趣味を「始めねばならない」は苦痛です。

定年後に趣味を始めて失敗するパターン、それは、

 ①人からやれと言われて始める

 ②定年前後から急に始める

わたし自身は多趣味なのですが、趣味には、お金も時間もかかるので無理にすることはない、せっかくの定年後なのだから自由にすればいいと思います。

そして、「時間をお金で買う」生活をしていた現役時代から発想を転換し、少々時間がかかってもなんでも自分でやってみる「時間でお金を買う」生活を勧めています。

 

5. でも、これだけはやっておこう

定年後にあれこれ言われて、不安にかられるのを軽減するための本ですが、蛇足じゃないかと思うのがこの1章です。

1 早く〝成仏〟すべし
2 ちょっと無理する日常生活で健康維持
3 「貯金」よりも「貯人」
4 「貯蓄」よりも「減蓄」
5 介護不安に備える三つのこと
6 何でも自分でやるクセを

いずれももっともなのですが、定年後は人それぞれ、あえて~すべしを言わなくてもいいのにと感じてしまいました。

 

まとめ

大江英樹さんの最新著書を紹介してきました。

この本の主張は、3年前に定年退職を迎え「わくわく定年退職ライフ」のブログを書いているわたしと境遇が似ているせいか、共感できる部分が多いです。

私はもともと群れるのが苦手で、最近はコロナ禍で飲み会がなくなり、在宅生活が増えたことを喜んで、ひとりの時間が僕を救うを読んでホッとしている人間です。

「定年の常識」にダマされるな!の副題が付き、「家でゴロゴロしていて何が悪い!」と説くこの本は一つの救いです。

定年前のセカンドライフセミナーなどで、「~すべき」とあれこれ言われて不安を抱えている人には、おすすめできる一冊だと思います。

 

○オマケ

同書では、年金問題についてより詳しく勉強したい人のためにおすすめ読書リストを付けています、いずれもわたしも読んだことのある良書なので、参考までにリンクを張っておきます。 

  1. 人生100年時代の年金戦略』日経新聞編集委員田村正之著 日本経済新聞出版 →別記事あり
  2. 年金不安の正体』雇用ジャーナリスト海老原嗣生著 ちくま新書
  3. ちょっと気になる社会保障』慶應義塾大学教授権丈善一著 勁草書房