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老後2000万円が必要?定年退職者向けに金融庁報告書を解説します

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「95歳まで生きるには夫婦で2千万円の蓄えが必要だと試算」金融庁の報告書が、大炎上しています。

ネットやマスコミはおろか、ついには財務・金融担当大臣が報告書を「受け取らない」と言い出すなど大騒ぎです。

わたしは、お金の専門家=ファイナンシャルプランナーとして、原文をきちんと読んでいますが、長寿化に伴う問題点を指摘した内容で、評価こそすれ違和感のない内容です。

各世代に渡り詳細に書かれている報告書ですが、定年退職世代向けに要点を解説します。

 

+++もくじ+++

 

金融庁の報告書とは

政府の一機関である金融庁が、大学教授やエコノミストを集めた審議会が、 「高齢社会における金融サービスのあり方」などを議論し、12回もの審議を経てまとめたものです。
つまり政府がこうしますという施政方針や見解ではなく、有識者が知恵を出してまとめた報告書です。

金融庁のホームページで公開されており、誰でも読むことができます。
もとより「2000万円ないと老後が迎えられない」「年金制度は国家的詐欺だった」「政府が年金破綻を認めた」といった一部マスコミや野党政治家が言うような意図をもった報告書ではありません。

 

事実を3つ並べたらまさかの大炎上

「定年後は公的年金だけでは食べていけない」と、誰もがうすうす気がついていたはずですが、今回金融庁が発表したことで、一気に火が付きました。

この老後2000万円という数字は、調査などで明らかになっているたった3つの事実を合成したものです。

その1 高齢夫婦無職世帯の平均的な実収入は、総務省家計調査から209,198円

その2 高齢夫婦無職世帯の平均的な実支出は、総務省家計調査から263,718円

その3 上記(支出-収入)の差額が月5万円程度で、仮に定年後30年程度生きるとすれば、約2000万円不足し、資産の取り崩しで対応が必要だ。

いずれも事実に基づく単なる計算であって、何も問題ありません。しかもこの図を提出したのは厚生労働省です。

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平均で生きている人はいない

今回用いた総務省家計調査などは、信頼できる方法で平均的な姿を描き出していますが、個々の家計の事情は様々です。

老後生活費については調査手法や対象により、いろいろな数字が出てきます。

これまでは金融機関が、商品を売るために平成28年度「生活保障に関する調査」をもとに使っていた「老後の望ましい生活費は34.9万円」というのが有名でした。

金融機関等はその数字をもとにして、「老後資金として1億円必要」いや「3000万円必要」などといって不安を煽り、投資商品購入を勧誘してきました。
今回の2000万円は、毎月26.4万円という実際の老後生活をしている世帯の調査をもとに議論されているので、実態に近いという意味でむしろ良心的です。 

銀行などが言ったら大きな数字でも無関心で、役所が言ったら過剰反応したのが今回の騒動で、そろそろ愚かな行動は改めるべきだと思います。

 

老後は意外となんとかなるもんだ

実際、2000万円ないと老後は迎えられないのでしょうか。そんな事はありません。

年金受給世帯のうち、過半数の世帯では、公的年金だけで生活しているのが現実です。

公的年金が総所得に占める割合

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出典:平成30年版高齢社会白書(全体版) - 内閣府

これで、誰もが毎月5万円取り崩さないと生活できないわけではない、事がわかります。 

これは年金受給者全体なので、本ブログの想定読者の定年退職者など、厚生年金受給者の場合はもっとゆとりがあるのは明らかでしょう。

下は、メットライフ生命「『老後を変える』全国47都道府県大調査」をもとに、金融庁がまとめた図です。

現役世代ではお金の老後不安がいっぱいですが、当事者である老後世代ではそんなに心配していない、すなわちなんとかなっている事がわかります。

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https://www.fsa.go.jp/singi/singi_kinyu/tosin/20190603/01.pdf 

  

自分の老後は自分で考えよう

今回の報告書が残した教訓は、自分の老後のことは政府任せにせず自分で考えようということです。

報告書では、若いときから資産形成を認識し、少額からでも長期・積立・分散投資をするよう勧めていますが、定年退職世代にとっては「時すでに遅し」でしょう。

では、具体的にどうすればいいでしょう。

 

(1) まずは現状把握

みなさんは家計簿をつけていますか?

毎月の収入と支出を把握できれば、平均的な姿ではなくあなたの家計の姿がわかります。

また、毎年送られてくる「ねんきん定期便」を見れば、何歳からいくらぐらい年金がもらえるか予測が立ちます。

毎月の収支がわかれば、「平均的に毎月5万円不足」ではなく、「わが家の老後の家計の予測」ができます。

その結果を見て、マイナス幅の大きさに応じた対策をとればいいのです。

 

(2) 現役で長く働く

取り崩しできる金融資産が少額で、老後の収入が足りない場合には、現役で働く期間を延ばすのが王道です。

今よりずっと平均寿命が短かった時代にできた年金制度に頼って、長寿社会を乗り切れるわけがありません。

働く期間を延ばせば延ばすほど、年金に頼った生活をする期間が短くなります。

しかも、雇用形態にもよりますが、厚生年金に加入しながら働くことで、将来の年金受給額を増やしていくことができます。

以前は高齢者の雇用機会はあまりありませんでしたが、今や人手不足時代。変なプライドを捨てればいくらでも仕事は見つかります。 

 

(3) インデックス投資で資産寿命を延ばす

金融庁の報告書でも、「長寿化に伴い、資産寿命を延ばすことが必要」と強調していますが、長い老後を考えればインフレ対策としても資産運用は必須です。

幸い今の日本では、世界に分散投資する低コストのインデックスファンドを誰でも買えるようになりました。

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(4) 年金受給開始時期を選ぶ

年金の受け取り開始は、65歳が標準ですが、60歳から70歳の間の好きな時期から受け取ることができます。

早く受け取り始めると、年金額は減額されるものの長く受け取れ、遅く受け取り始めると年金額は増えます。

自分の収入の不足額や、引退年齢などを考慮して受給開始時期を選ぶことができることは覚えておきましょう。

なお、政府はさかんに年金受給時期の繰り下げをPRしていますが、それが「お得になる」かどうかは別の話、何年生きるかによります。

年金受給時期の繰り下げ、繰り上げは年金財政に中立とされており損得はありません。自分の生活スタイルに応じて年金受け取り開始時期を決め、資産取り崩しと合わせ収入の範囲で生活していくのが賢明です。 

 

(5) 社会保障制度の理解を深める

 民間の保険に多く入る人が陥っているのは、日本の社会保険制度への理解不足です。

社会保障には、低所得者の生活を支える「所得再分配機能」があり、低所得であっても医療・介護などの基本的な社会サービスを平等に受けることができるようになっています。

貧困に陥ることを過度に心配せず、今できることをしっかりやればいいのではないでしょうか。

 

まとめ

今回、政治家に翻弄された金融庁は今後「地雷は踏みたくない」と慎重になり「年金」「老後資金」はタブーになるでしょう。

せっかく高齢期の資産運用の環境が改善されようというときに残念です。

所管大臣にまで見放されたかわいそうな報告書ですが、私が思う本当に伝えかったメッセージを報告書の最後から引用して終わりにします。

今何ができるか、何をすべきか。標準的なモデルが空洞化しつつある以上、唯一の正解は存在せず、各人の置かれた状況やライフプランによって、取るべき行動は変わってくる。今後のライフプラン・マネープランを、遠い未来の話ではなく今現在において必要なこと、「自分ごと」として捉え、考えられるかが重要であり、これは早ければ早いほど望ましい。 

 読者のみなさんが、自分で考え幸せな定年後ライフを送れることをお祈りしています。

 

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