わくわく定年退職ライフ

ちょっとのお金の知識で豊かなシニアライフ

人生の最後に向けて考える定年後の資産運用方法

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みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。

最近読んだ「日本人の死に時 そんなに長生きしたいですか(幻冬舎新書)」という本の中でこんな話がありました。

「あんたなんか死ねない」という意地悪、という章です。

デイケアの現場で、失敗をしたおばあさんが「死んでしまう」と叫んだのに対し、「あんたなんか、そんな簡単に死ねんわ」と意地悪を言う場面です。

「死ね」と言うのではなく、「死ねない」というのが意地悪になっているのが、人生の最終場面に臨む老人たちの実情だというのです。

人間だれもが「ピンピンコロリ」と他人に迷惑をかける事なく死ぬことを願いますが、ほとんどの場合思うようになりません。

この思うようにならない不確実性がシニア世代の資産運用を難しいものにしています。

しかし、少し準備するだけで大きく状況を改善できます。

まだまだ元気なあなた、人生の最後に向けての資産運用を少しだけ考えてみませんか。

 

通りに行かない人生の最後

 冒頭で紹介した本は、在宅医療で多くの人を看取っているお医者さんが書かれた本です。

「人生100年時代」などと、明るい話題として語られることの多い長寿。

実際には長生きすると良いことばかりではないようで、多くの人が体が不自由になり、希望がなく死にたいけど死ねないような状況に置かれているというのが著者が紹介したいことのようです。

資産運用でも、思い通りにいかないのは相場だけではありません。

自分の健康、とりわけ認知能力や体力の衰えは資産運用に大きく影響します。

何も考えずに、若い時と同様に資産を増やすことだけを考えていると、最後に大きな悔いを残すことにもなりかねません。

 

黄金の15年は資産フル活用期

ベストセラー「定年後 - 50歳からの生き方、終わり方 (中公新書)」を書かれた楠木新さんは、60歳定年から70歳半ばまでの期間を「黄金の15年」と名前をつけて、その時期をしっかりと生きることが重要だと強調されています。

定年後、体が不自由になったり、認知性が進んだりする前に人生を楽しむのが一番でしょう。

若い時に「苦労は買ってでもしろ」と言われた経験はないでしょうか。

黄金の15年を迎えたあなたは、「お金を使って苦労を遠ざける」ステージです。

老後不安を煽る金融機関やマスコミに惑わされず、しっかりお金を使って人生を楽しんでください。

 

金融資産は取り崩しながら運用

いろんな批判はありますが、定年退職後の生活を支える最強の柱は公的年金です。

ただそれだけでは不十分なため、退職金を始めとする金融資産を少しずつ取崩しながら生活するのが通常です。

取り崩し額については、平均的には数万円で、本来取り崩し可能な額より保守的であることが知られています。

ただ定年退職後の30年前後の長い時間を考えると、インフレに負けないためにも資産を単に取り崩すのではなく、運用しながら取り崩す必要があります。

仮に、あなたの金融資産を2400万円としましょう。

月に10万円ずつ取り崩すと、2400÷10=240ヵ月ですから、240ヶ月すなわち20年間取り崩せます。

それが3%で資産運用しながら取り崩すと、その期間は30年6ヶ月に伸びます。

こういった計算を簡単にできる金融電卓-取崩し受取期間|モーニングスターなどのサイトがインターネット上にはたくさんあるので、試してみれば資産運用の必要性がわかります。

何パーセントで資産運用できるかは事前にはわかりませんが、いずれにしろ適切な方法で資産運用すれば資産寿命が伸びる可能性が高いです。

それでも老後資金について不安な方は、別記事「定年退職後の生活費、本当はいくらかかるか知ってますか」にそんなに心配する必要がないことを書いていますのでお読みください。

 

SBI証券の「投資信託定期売却サービス」が素晴らしい

かつて個人投資家は、大手証券会社から「ゴミ」と蔑まれ、意識の高い個人投資家は海外に口座を作るなどして米国のETFなどを買い付けていたものです。

その時代を知るわたしから見て、今の日本は個人投資家向けの環境が素晴らしく充実しています。

特に、 若い人の資産形成に向けては、金融庁主導で創設された「つみたてNISA」はじめとする制度が充実しており、投資しない人の自己責任が問われる時代です。

しかし、唯一充実していないのが定年後の資産運用環境で、たとえば定年後の取り崩ししながら運用するのを応援するサービスはありません。

金融機関は、お金を集めるモチベーションはあっても、お金を払い出す利便性を高めるメリットはなく、商品開発が進まないのは仕方ないのかもしれません。

退職金などで一定規模になった投資信託などの資産を、運用を継続しながら年金代わりに毎月一定額を売却して現金で受取るサービスは、ありそうでないものです。

そんな中、唯一利用できるのが、SBI証券の投信定期売却サービスです。

申込金額と申込日の設定を行うだけで、毎月決まった金額だけ売却して現金を受取れ、サービス利用料は無料です。

毎月受け取り以外に、「奇数月コース」、「偶数月コース」も選択可能で、年2回まで「ボーナス月コース」の設定も行えます。

低コストの「インデックスファンド」と「定期売却サービス」の組み合わせは、現時点では最も「ほったらかしで増やしながら取り崩す」最良の方法です。

ぜひ、他の証券会社も追随してほしいものです。

 

終末に向けてゆっくり準備

口座の断捨離

資産運用をはじめると、サービスの違いや各種キャンペーンもあり、あちこちに口座を作ってしまいます。

家計費で使うメインの銀行の他に、ネット証券、ネット銀行、人によっては仮想通貨やFX取引の口座、さらには会社から言われて作った口座、すでに返済の終わった住宅ローンの口座、昔の取引先の要請で作った口座、知り合いのお付き合いなどなど、多くの口座をお持ちではないでしょうか。

定年後の早い段階では、ペイオフ対策のほか、振込手数料や投資商品の品揃えなど、複数の口座を持つのは合理的です。

この段階では、せめて休眠口座を無くすのが最初の行動です。 

銀行によっては、開設した支店でないと口座解約できないなどややこしく、まさに元気なうちでないと解約も困難です。 

さらに自分の認知能力が落ちてきたり、体が不自由で他人の助けが必要な段階になれば、近くの銀行、メインのネット証券など2-3口座に絞るべきです。

口座が多数あると、自分で管理ができなくなったりしますし、万一のとき残された人の作業が膨大なものになります。

最悪の場合は、せっかく貯めたお金が幽霊口座になり、最後は国庫行きとなることもありえます。

  

金融商品の整理単純化

退職金を始めとする金融資産は、取り崩しながら運用するべきというのは前述の通りなのですが、取り崩しの作業を通じて複雑な商品を整理しましょう。

日本のネット証券の口座に投資信託を持っているくらいなら、比較的単純なので問題はないでしょう。

理解の難しい仕組預金や、外貨建て生命保険など複雑なものは理解が難しく、たとえ含み損が出ているにしろ、早めに整理するのが得策です。

 

やりすぎると不自由

上記は大きなお金に関する整理ですが、これ以外にクレジットカードや携帯電話を始めとする各種契約など、お金にまつわる事項は多岐にわたります。

もちろん、これらを整理してシンプルにするのは悪いことではありません。

しかし、やりすぎると生活が不自由になります。

また、万が一のことがあったとしても後処理は比較的簡単で、失う金額があったとしてもわずかです。

大きなお金が動くところを中心にシンプル化するのが、バランスの取れたやり方です。

 

安心の成年後見制度

最近よく聞くのが、認知症になってくると銀行からお金がおろせないという話です。

銀行からすればトラブルを避けるため仕方ないのでしょうが、自分の銀行口座にたっぷりお金は残っているのに、それを引き出せないという事態が懸念されます。

そこで近年、利用者が増えてきているのが成年後見制度です。

これは、認知機能が落ちてきた際に、自分のお金まわりの判断を助けてくれる制度で、法定制度と任意制度があります。

法定後見制度は、判断能力が衰えた人に対して、家庭裁判所が後見人を選任するものです。

後見人は多くは弁護士・司法書士などの専門家で、本人に代わって病院や施設の入退所の契約、年金や各種収入など財産の管理を行うものですが費用がかかります。

任意後見制度は本人の判断能力があるうちに活用できるものです。

まず、自分が元気なうちに信頼できる人を選び、その人とともに公証役場に出向いて任意後見契約を結んでおきます。

やがて歳をとり認知能力が落ちるなどの活用場面になれば、本人やその配偶者、親族が家庭裁判所に任意後見監督人選任の申し立てを行い、監督人が決定すれば実際の任意後見が始まるものです。

このほか似たような制度で、費用はかかりますが信託銀行が力を入れてきている家族信託などもあり、ある程度の費用を覚悟するならお手軽かもしれません。

 

遺産相続の準備

実は多いのは少額の「争続」

遺産相続では、残された親族が醜い争いをする「争続」にしないことが大切です。

「うちは相続税がかかるほど資産がないから大丈夫」と思っているかもしれませんが、実は争いは少額でも多いのです。

「争続」といえば莫大な遺産をめぐり大勢の相続人が泥沼の争いを繰り広げるようなイメージですが、実態は違います。

最高裁判所が出している平成29年度司法統計の遺産額別事件数によれば、遺産分割で争われた7520件のうち、32%は1000万円以下、1000-5000万円以下が43%と、それほど遺産額が多くなくとも、多数の争いが起こっていることがわかります。

「争続」は事前の準備で確実に防ぐことができます。

 

遺産相続制度の改正

昨年、民法の相続規定が大幅に改正されました。主なものは、以下の5つです

  1. 自筆証書遺言書の条件緩和
  2. 結婚20年以上の夫婦でマイホーム贈与の優遇
  3. 遺留分支払いの現金化
  4. 相続権無い人の介護の特別寄与分創設
  5. 配偶者居住権の新設

特にお金の面での注目は、相続権はないが介護などに貢献した人、例えば相続人の妻などが、その貢献度合い(寄与分といいます)に応じて相続財産を取得する権利を認め、相続人に金銭を請求できるという制度です。

介護の実態を考えれば妥当な改正ですが、ただでさえか争いごとが起きそうな相続に、相続人以外のメンバーが入ることによって、さらにトラブルが増えることも心配されます。

 

公正証書遺言がベスト

遺産分割を巡るトラブル防止にベストなのは公正証書遺言です。
遺言を作ろうと思った場合には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類のうちいずれかの方法によって作成することになります。

遺産相続制度改正で自筆証書遺言の条件緩和があるとはいえ、間違いなくベストなのは公正証書遺言です。

公正証書遺言は公証人という法律家が関与した上で作成するため、形式的に不備がないことはもちろんですが、内容的にも明確であり、さらに遺言の執行手続きのことも考えられているということが大きなメリットです。

デメリットとしては若干の費用が生じることですが、メリットを考えれば圧倒的に優れた方式です。

作成にあたっては信託銀行などに相談するよりは、弁護士に依頼して作成し、あわせて遺言執行者になってもらうのがトラブル防止とコストの面でもベストだと思います。

 

まとめ

このブログを読まれたあなたは、まだまだ心も体も元気だと思います。

ぜひ過去の苦労の集大成である退職金などは、自分のために有効に使って、このブログの名前でもある「わくわく定年退職ライフ」を送っていただきたいと思います。

その際、ほんの少しだけ人生の最後に向けての資産運用を考えていただくだけで、大きな後悔を避けることができると思います。