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「日銀崩壊」藤巻健史さん 著:持つべきはドルと仮想通貨【書評】

みなさんこんにちは

安井宏@定年退職FPです。
元モルガン銀行東京支店長で、経済評論家・参議院議員の藤巻健史さんの本です。

膨大な借金を背負ったわが国の財政破綻を警告するものですが、日銀の異次元緩和がハイパーインフレに向かうとして、Xデーに備え自己資産を守ることを主張しています。

わたしは定年退職して、今後大幅な収入増が見込めない世代なので、国の財政状況はとても気になります。

過去に財政破綻した国では、一番被害にあうのが公務員と年金生活者など高齢者だからです。

この本は、そんな心配をする公務員・定年退職世代に大いなる気づきを与えてくれます。

 

+++もくじ+++

 

こんな本です。

国の財政破綻を警告する本ですが、政府の債務残高がGDPの2倍でギリシャより悪いから破綻するとか、ハゲタカファンドが日本国債を売り浴びせるからと行った、荒唐無稽な論理で書かれている本ではありません

国の膨大な借金は、ハイパーインフレと言う税金(インフレ税)で解消するしかなく、現在の日銀の異次元緩和が財政危機を先延ばししているものの、やがて日銀破綻という形で終焉を迎えることを緻密に論じています。 

 

本の内容紹介

ちょっとしたきっかけで日本(株・国債・円)売りは突然始まる!
政府と日銀は国会で、異次元緩和という出口なき後始末をどう弁明しているのか?

効果がないにもかかわらず、政府と日銀は、異次元金融緩和をゆるめようとはしない。

異次元金融緩和の何が問題かというと、その出口戦略が皆無であることだ。

金融緩和をやめれば金利は暴騰、円は暴落するのは歴史をみても明らかである。

現在、市場が暴走しないのは日銀がひたすら国債を買っているからであって、こんなことが永遠に続けられるはずはない。

そして日本の借金は膨れ上がる一方で、世界や有識者からの警告が政府と日銀に届くことはないのが現状である。

危機が起こるのを黙ってみていれば、一文無しになってしまう。

日本人はどうすれば自分の資産を守れるのか? 避難通貨として持つべき米ドルと仮想通貨についても詳しく解説する。

出典:Amazon

 

著者は国会議員だが市場のプロ

著者は、現在では日本維新の会所属の国会議員ですが、もともとはモルガン銀行で大規模なトレードの仕事をしたり、大学で金融関係の講義をされてきた方です。

著名投資家ジョージ・ソロス氏のチームにいたこともある市場のプロなので、いわゆる財政破綻をあおるだけのトンデモ本とは一線を画しています。

文中の所々でも、市場の暴風を耐えてきた著者ならではの洞察が散りばめられています。

同氏はかなり以前から、財政破綻やハイパーインフレに警鐘をならしていたため「オオカミ少年」扱いする向きもあります。

しかし、1年掛け捨ての生命保険が何もなく無事に過ぎても無駄になったと言わないようなもので、いままで大丈夫だからこれからも財政破綻はないとは言い切れません。

  

出口なき異次元緩和の末路

わが国の財政状況が厳しいものであることは、ほとんどの方がご存知と思います。

しかし、現状では黒田バズーカと言われる金融緩和の中で、当面はなんとかなると思っている方がほとんどでしょう。

定年退職された方で、死ぬまでに財政破綻が起こらなければ、それはそれでいいかもしれませんが、定年後と行っても30年近くの余命があることを考えると、そんなに楽観はしていられません。

財政破綻が起こると不安を煽るだけではだめで、具体的に何が起こりそうかを歴史的事実や他国の事例、現在の日本の政治的法的制約を含めて考察したのが本書です。

本書では、もはや返済不能なまでに膨れ上がった国の借金を、日銀が異次元緩和で支えている現状を紹介し、それに出口がないことから、その末路はハイパーインフレになるとしています。

そして、財政破綻で預金封鎖と新券発行が行われた、昭和2年と昭和21年とは異なり、日銀倒産と新しい中央銀行設立で事体収拾が図られると予測しています。

財政破綻のきっかけ(Xデー)や収集策についてはいろんな学者が諸説を述べていますが、本書では大規模緩和で出口のなくなった日銀の債務超過に注目しています。

 

なぜブログで紹介するのか

過去に財政破綻した国では、最大の被害者は公務員と年金生活者などの高齢者です。

日本銀行の異次元緩和がいかに問題かは国会答弁なども踏まえて詳細に述べられており、なかなか反論は難しいと思います。

内容については本を読んでほしいのですが、このブログの読者にとって関心のあるのはむしろその対処法でしょう。

こんな記事もどうぞ=>定年退職世代こそ財政に目を向けXデーに備えよう

 

筆者おすすめの対策はドルと仮想通貨

本の副題にも「持つべきはドルと仮想通貨」とあるように、筆者は自衛策としてドルを持つことと、仮想通貨を持つことを勧めています。

国の財政を心配する多くの人が、外貨資産保有の重要性を説いてますが、この本ではドルと仮想通貨に絞っており、その根拠も述べられています。

 

意外と簡単なドル(外貨)の蓄え方

世界分散投資はハイパーインフレ対策

当ブログでは、世界の株価総額に比例したインデックスファンドを持つべしという、標準的なインデックス投資を勧めています。

世界の株価総額の8%が日本なので、世界に広く分散したインデックスファンドを持っていれば、その金額の92%は、円以外の外貨を持っているということです。

仮に、金融資産の6割を非リスク資産として個人向け国債などで運用し、4割をリスク資産としすべて全世界型のインデックスファンドに投資しているとすれば、40%✕92%=37%で約3分の一を外貨で持つので一応対策ができていると言えると思います。

若い世代であれば、世界に幅広くインデックス投信で分散投資していれば、自然と財政破綻対策もできていると言えるでしょう。

 

仮想通貨は税金が問題

筆者のすすめる仮想通貨は、優れた現代の発明品と思いますが、ドルなどと違い扱いには注意が必要です。

ドルでも仮想通貨でも、1ドル=120円のとき購入したものが、1ドル=1,000円などとなれば、膨大な評価益が出ますが、手取りでは税制の違いが大きく出ます。

ドルMMFなら譲渡所得として20%(国税15%、地方税5%)の申告分離課税が適用されます。

しかし、仮想通貨の売買で利益が出ても雑所得扱いで、総合課税となり最高55%の税率がかかるので、ハイパーインフレの対応策にはなっても、いざそれを換金して生活資金にしようとすると莫大な税金を取られることになります。

また、何より仮想通貨は値動きが激しく、資産運用には適しません。

ここは著者も言うように、まず仮想通貨取引の口座を開き、ごく少額の取引の経験だけ積んでおくのが良いでしょう。

仮想通貨取引は、銀行と違い世界中で24時間365日休み無しに行われるので、いざというときの対応力では土日に閉まる銀行や証券会社より優れていると思います。

  

定年退職者は一層の対策が必要

この本の予測は、当たらないのが一番良い生命保険のようなものです。

ただ、財政破綻やハイパーインフレが起こると一番被害を受けるのは、公務員と年金生活者すなわち財政支出で生活を支えている人であるのは常識です。

IMFなど国際機関の支援を受けるにしろ年金カット、公務員人件費カット、医療や介護など手厚い社会保障のカットは定番の対策だからです。

問題は定年退職者の対処法で、この人達は円で年金給付をという資産(正確には将来もらう年金の現時点価値ですが)を持っています。

どれだけ生きるかわからないので、その金額算定は困難ですが、一般には5千万円から8千万円にも上ると思われます。

定年退職者は若者同様にリスク資産の中で外貨を持つだけではなく、非リスク資産でも一定部分はドルなどで持つべきでしょう。

筆者はTwitterなどでほとんどの資産をドルと仮想通貨にしているとおっしゃってますが、普通の人にはちょっと極端かなとは思います。

61歳のわたし自身は、全金融資産の半分を目安に外貨資産を持ち、仮想通貨は練習程度に少額保有するのが基本方針です。

 

まとめ

私はこの本の予想が外れることを心から願っていますし、著者の藤巻さんにはいつまでも「オオカミ少年」でいてほしいと思います。

しかしながら、この本で著者が展開している主張には説得力があり、これを覆すのは難しい状況です。

そうであれば、ドルや仮想通貨を持ってしっかり防衛することが必要です。

お金の世界はいつもそうですが、わずかなお金の知識が大きく損得を分けます

財政破綻で一番被害を受ける、定年退職者や公務員にこそ読んでほしい1冊です。