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【書評】日本・破綻寸前~自分のお金はこうして守れ!(藤巻健史)

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みなさんこんにちは
安井宏@定年退職FPです。

今日ご紹介する本は、藤巻健史さんの最新の著書日本・破綻寸前~自分のお金はこうして守れ!です。

藤巻さんはかつて伝説のディーラーと言われ、その後参議院議員として仮想通貨税制や日銀の追求などで名を馳せたものの、僅差で落選して再び経済評論家に戻るという、まさに今の金融市場のようなボラティリティの高い人生を歩んでおられる著名人です。

 

+++目次+++

 

1. タイムリーな発刊-有事の円買いが消えた

今回の発刊のタイミングはなかなか絶妙です。

ようやく消費税を上げて、政府が財政再建に少し歩み始めたなと思ったところに今回の新型コロナショック。

日本だけでもなく世界各国が競って財政規律を緩めて、大盤振る舞いをしています。

日本では一人10万円ばらまくということで、単純計算で12兆円が国民に配られ財源は赤字国債、すなわち国の借金です。

日銀はすでにゼロ金利ですが、アメリカが金利を急速に引き下げました。

通常であれば安全資産である円にお金が向い、強烈な円高になるだろうと思って身構えていましたが、意外と円高にはなりません。

なんとなく市場の変調を感じていますが、日銀の含み損発生観測などが影響しているのかもしれません。

 

2. 著者の藤巻健史さんはどんな人

 藤巻さんは「伝説のディーラー」と語られることが多いですが、第一線を退いてからは大学で教えたり、参議院議員をしたりされていました。

特に、参議院議員時代にはいち早く暗号資産(仮想通貨)の有用性に目をつけて、財務省と税制問題で論戦を繰り広げたことでも知られています。

参議院時代のもう一つの成果が、日銀の緩和策の害を禁じ手の「財政ファイナンスである」と警告し、黒田総裁などと厳しく対峙したことです。

今回の著書は、その論戦が大きなベースとなっています。

 

3. これまでの警告

藤巻さんは、ずっと以前1997年ころから「放漫財政をしていると財政破綻してしまう」と財政破綻の危機を警告してきました。

いうまでもなく日本の財政が借金だらけであることが理由です。

しかしその後も国の財政は好転せず、むしろ政府・日銀の異次元緩和があったことで主張が変化して、財政破綻という危機の先送りが異次元緩和で、禁じ手の財政ファイナンスが行われているとの警告に変わってきています。

そしていまや、膨大な日本の借金を返済する方法はハイパーインフレしかないという結論に達し、各方面に警鐘を鳴らしています。

 

 

4. 本の内容を紹介

今回の本で、著者は様々なデータをあげて、日本がいかに異常な状態になってるかということについて詳細に記載しています。

これはご本人が参議院議員だったとき、日本銀行の幹部などと国会で議論したことでもあり、非常に説得力のある説明です。

 

(1) 藤巻氏の資産運用

第一章では「私はこうして資産を運用している」として、ご自身の運用方法を紹介されています。

基本的に、将来ハイパーインフレになる予想のもと、インフレに備えた運用をされているのが特徴です。

すなわち、銀行から長期固定金利で借金をして、海外含めた不動産に投資していること。

また、金融資産のほとんどをドルを中心とした外貨資産で運用されているとのことです。

さらに、一部を暗号資産(仮想通貨)で保有しているとのこと。

 

(2) 財政再建にはハイパーインフレが唯一の手段

第2章では、「財政再建にはハイパーインフレしかない」です。

まず日本の財政状況が世界で最悪ということを紹介し、さらにそれを解決するためには増税ではとても間に合わないということを説明しています。

国の債務残高がGDP比237%に及ぶなど日本の財政は火の車です。

最近は、MMT理論など少し怪しい経済理論も出てますが、著者はこれに与しないものの「日本がMMT理論を実践中」との声が米国にあることを紹介しています。

結果的に財政再建をするためには増税では間に合わず、ハイパーインフレしかないことを説明しています。

円の価値が暴落し、タクシー初乗り1兆円、1ドルが1万円の時代が来かねないというのですから驚きです。

日本の借金がとても大きいことは知られていますが、それとハイパーインフレがどう繋がるのかというのが腑に落ちないと思いますが、日本銀行が紙幣大量発行することによって、財政破綻は免れるものの結果的に貨幣(日本円)の価値が落ちハイパーインフレになるということです。

なぜ財政破綻ではなく、ハイパーインフレかという疑問に対しては、財政破綻とハイパーインフレは同義であるとし、日銀がどんどん紙幣を刷れば財政破綻しないが、結果として円の価値が暴落しハイパーインフレになると解説しています。

 

(3) 日銀による財政ファイナンス

第3章から6章で、日銀の異次元緩和で紙幣をふんだんに刷り、結果的に財政破綻は回避できているものの、結局は財政赤字の尻拭い「財政ファイナンス」であることを数字を示して解説しています。

特に、最近の気持ち悪い動きとして政府が発表した紙幣刷新を取り上げて、ハイパーインフレ収束手段として、価値の落ちた日銀券を法定通貨から外し、新しいお札に刷新する、「新券切り替えの布石」ではないかとの疑問を投げかけています。

 

(4) 市場の力による最終解決

第7章以下では、「政治が借金を解決しなければ市場が解決する」として、いくら政治家が先送りしても、いずれ市場が反乱を起こし「日銀は資産の評価損で債務超過に陥る」ことを論じています。

そうなればもはやブレーキのない時代に入り、日銀倒産・債務超過が視野に入ります。

そしてそんな時代に、日銀券は信用を失いハイパーインフレへと突入するのです。

 

(5) Xデー到来

それでは「何を契機にXデーは訪れるか」を第11章から論じています。

具体的には、

  • 景気が悪化したとき
  • 日銀の債務超過が予見されたとき
  • 地方銀行が苦境に陥り、連鎖倒産が起きたとき

などなどの可能性を紹介しています。

すでにここまで読めばハイパーインフレは不可避で、問題は「いつどんな原因で起こり、どう対処するか」の問題になってきます。

 

(6) 自分の資産を守る方法

第15章の「 X デーに備え資産をどう守るか」の部分は読者にとっておそらく一番関心があるところではないでしょうか。

この章ではかつてドイツがハイパーインフレになった例を紹介し 、財産の防衛策を教示しています。

前提として「Xデーが現実になっても日本経済は復活できる、すなわちハイパー・インフレで円安になれば、マーケットメカニズムを通じて経済が回復する」として、それまでのサバイバル策を紹介しています。

Xデーに対しては、ドル資産を持っていればダメージが少なくなることを紹介しています。
特にお勧めされているのがドルのMMFです。

ドルが世界の最強通貨だからいいということですが、ドル預金とドルMMFは税制の違いがあることなどを書いています。

一方預金封鎖などインフレ鎮静後の対策については、まずはハイパーインフレを生き残ることが重要だとして、ハイパーインフレに対応することと、預金封鎖などハイパーインフレ鎮静策に対応することは別に考えるべきと説明されています。

 ハイパー・インフレ鎮静策への対応については、まずドルを持ってハイパーインフレを生き残ってからということですが、大部分の国民にとって海外口座を持ってお金を海外に逃がすは大変なので、暗号資産(仮想通貨)が現実的と紹介されています。

口座開設に時間がかかることを勘案し、早めに暗号資産(仮想通貨)の口座開設だけでもしておくことを勧められています。

 

5. 私の感想

わたしは今回の「一人10万円配布」を聞いたとき、孫に借金させて自分たちが使うモデルだと思いました。

この本を読むまでもなく、日本の財政は借金まみれで、いつの日にか行き詰まることは火を見るよりも明らかです。

とはいえ、なにかが起こると怯えるのではなく、一定のシナリオに基づいて準備をしておくことが重要です。

本書は、最もありそうなシナリオの一つを提示してくれたと考えています。

 

6. わたしが実践している資産運用

もちろん、本書でも書かれてますが予想が外れるのがベストです。

しかしながらハイパーインフレの可能性はかなりあると思っており、わたし自身は自分の金融資産のうちの外貨(必ずしもドルでないがドル建てが中心)比率を高位に保つようにしています。

具体的には全金融資産の50%を、全世界に分散投資するインデックスファンドやETF、それに藤巻氏おすすめのドルMMFなど外貨建にしています。

50%は多いと思われるでしょうが、わたしはすでに定年退職しており、年金受給開始が近い年齢であることも理由の一つです。

「年金がもらえなくなる」ことは100%無いと確信していますが、もらう年金は日本円であることは注意が必要です。

わたしがいつまで生きるかわかりませんが、自分が今持っている金融資産に加え、潜在的に数千万円規模の日本円資産を持っていると考えてもいいでしょう。

そうであれば、手元の金融資産のうち外貨比率はかなり高くてもいいと納得できるのではないでしょうか。

 

まとめ

今回の新型コロナは、個人の生活だけでなく世界中の経済を壊しかねない勢いです。

また、失業や休業に対して各国政府は膨大な金額を個人や事業主に支給しており、いずれも潜在的にインフレ要因とみなされます。

藤巻さんの主張が現実にならないことを切に祈っていますが、同時にある程度の防衛策を取るべきと真剣に考えているところです。

国の財政を心配する人にとって、参考になる一冊と思います。