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政府の「骨太の方針2018」から定年退職世代の懸念事項を読み解いた

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こんにちわ、安井宏@定年退職ブログです

先日、政府が「経済財政運営と改革の基本方針2018」いわゆる「骨太の方針2018」を閣議決定したのですが、定年退職世代にとっては、医療や介護の負担増が気になる一方、高齢者の働き方など前向きな記述も多く、大変気になる文書です。

骨太の方針の性格上、おそらく行政施策の方向としてはこのように進むので、わたしの独断で解説してみました。

*以下の引用箇所・ページは、すべて骨太の方針2018」です。太字の強調は私が独自に追加したものです。

 

+++もくじ+++

 

そもそも骨太の方針とは

骨太の方針は2001年の小泉内閣で策定されて以降、政策の基本骨格を示すため毎年発表されているものです。

当初に比べ世間の注目度は低くなってきていますが、1年間の政策方針の総まとめであり非常に重いものです。

各省庁のすり合わせも終わっていることから、単なるビジョンではなく実行につながる率が非常に高く、今後の政策動向を予想するためには格好のツールです。

 

1 医療介護の負担増の方向は不変

来年の統一地方選挙・参議院選挙、消費税引き上げを意識して、財務省が求めた社会保障分野での大幅な負担増は見送られた形ではありますが、着実に負担増・給付抑制に向かっているのが随所に見られます。

75歳以上の高齢者が医療機関の窓口で支払う医療費の自己負担(原則1割)を2割に引き上げることなどは、時期はともかくレールは引かれたと見るべきでしょう。 

勤労世代の高齢者医療への負担状況にも配慮しつつ、必要な保険給付をできるだけ効率的に提供しながら、自助、共助、公助の範囲についても見直していく必要がある。(p59)


高齢者医療制度や介護制度において、所得のみならず資産の保有状況を適切に評価しつつ、「能力」に応じた負担を求めることを検討する(p59)


後期高齢者の窓口負担の在り方について検討する。(p59)


介護のケアプラン作成、多床室室料、介護の軽度者への生活援助サービスについて、給付の在り方を検討する。(p59)


年金受給者の就労が増加する中、医療・介護における「現役並み所得」の判断基準を現役との均衡の観点から見直しを検討する。(p59)

 負担の根拠を年収などのフローだけでなく、資産の保有状況にまで広げようというのはこれまで以上に踏み込んだもので、テクニカルに実現可能かどうか疑問ではありますが、今後注目すべき事項でしょう。

ケアプランの有料化を検討しようというのも、「有料化すれば利用者がケアマネージャーが作成するプランをチェックするようになり、質の向上につながる」という能書きはありますが、少しずつ負担感のない形で負担を押し付ける、スライスサラミ方式に見えます。

 

2 高齢者の働く環境は改善か

政府も高齢者が働きやすいような方向で検討しているようです。

人生100 年時代を見据え、意欲ある高齢者に働く場を準備する。(p9)


意欲ある高齢者に働く場を準備することは、働きたいと考える高齢者の希望をかなえるためにも、人口減少の中で潜在成長力を引き上げるためにも、官民挙げて取り組まなければならない国家的課題である。実際、高齢者の身体年齢は若くなっており知的能力も高く、65 歳以上を一律に「高齢者」と見るのは、もはや現実的ではない。年齢による画一的な考え方を見直し、全ての世代の人々が希望に応じて意欲・能力を活かして活躍できるエイジフリー社会を目指す。(p17)


年金受給開始年齢の柔軟化在職老齢年金制度の見直し等により、高齢者の勤労に中立的な公的年金制度を整備する。(p56)


元気で働く意欲のある高齢者を介護・保育等の専門職の周辺業務において育成・雇用する取組を全国に展開する。(p56)

 いまの高齢者は、かつてのおじいちゃん、おばあちゃんとは知力・体力など全く違います。

政府がその事実を正面から受け止めたのは正しい判断でしょう。

在職老齢年金の制度は、働くことによって年金が減らされるという仕組みで、働こうという高齢者の意欲をそぐという評判の悪い制度です。この改善が期待できるのは嬉しいことです。

 

3 健康寿命延伸施策を推進

日本の平均寿命はどんどん伸びていますが、健康寿命と平均寿命に大きな差があるのか問題です。

日本では、日常生活に制限のない期間を指す「健康寿命」と平均寿命の差は、男性で約9年、女性で約12年もあります。

健康寿命を伸ばしてその差を縮めるための施策が次のとおり掲げられています。

給付と負担の見直し等による社会保障の持続可能性の確保を確実に図りつつ、エビデンスに基づく費用対効果を踏まえながら、健康寿命を延伸し社会の活力を維持するとともに、人手不足の中でのサービス確保に向けた医療・介護等の分野における生産性向上を図るための取組を進める。(p54)


健康寿命を延伸し、平均寿命との差を縮小することを目指す。(p54)


医療・介護制度において、データの整備・分析を進め、保険者機能を強化するとともに、科学的根拠に基づき施策を重点化しつつ、予防・健康づくりに頑張った者が報われる制度を整備する。(p55)

最新のデータサイエンスなどを用いて制度を改善していくことの重要性は言うまでもないでしょう。

 

4 財政規律の緩みが心配

今回の骨太の方針の最大の問題点はこれです。

政策経費を新たな借金に頼らず賄える基礎的財政収支(プライマリーバランス)を黒字化する時期の目標を、従来の20年度から25年度へ5年遅らせたのは、悪い意味で最大の注目点です。

団塊世代が75 歳に入り始めるまでに、社会保障制度の基盤強化を進め、全ての団塊世代が75 歳以上になるまでに、財政健全化の道筋を確かなものとする必要がある。
このため、財政健全化目標については、
○ 経済再生と財政健全化に着実に取り組み、2025 年度の国・地方を合わせたPB黒字化を目指す。
○ 同時に債務残高対GDP比の安定的な引下げを目指すことを堅持する。 (p51)

これまで曲がりなりにも目標を作って財政規律を守ろうとして行きました。

結果的には守ることはできなかったわけですが、今回いよいよ目標を先送りをしてしまったことで財政規律が緩み、それが国債の信任を失うことに繋がらないかとても心配です。

 

5 定年退職世代もIT活用待ったなし

定年退職世代にとって IT の活用生活の質を保つためにも絶対必要なことです。 

中高年を対象に基礎的なIT・データスキル習得のための教育訓練を拡充することにより、中高年の新たな活躍を支援する。(p17)


旧態依然としたアナログ行政から決別し、行政のあらゆるサービスを原則としてデジタルで完結させることで(「紙」から「データ」へ)、国民や企業が直面する時間・手間やコストを大幅に軽減する。(p19)


簡易かつ高セキュリティな決済の仕組みを確保しつつ、二次元コード(QRコード等)のフォーマットに係るルール整備等を図るなどFinTech・キャッシュレス化を推進する。(p20)


デジタル格差のないインクルーシブ(包摂的)な社会を実現するため、高齢者、障害者等に対するICT利活用支援に取り組む。(p46)


行政手続の電子化の徹底等により、行政手続コストを2割以上削減する(p70)

政府の政策で行政のIT化キャッシュレス化が進むことによって、いよいよITを使いこなす人と使いこなせない人の格差が大きくなります。

定年退職世代は、自分で意識してITで遅れを取らないようにしましょう。

 

6 成年後見制度

さらに、成年後見制度が十分に活用されていないことから、市町村計画の策定などでこれを強化しようということを進めています。

成年後見制度利用促進基本計画に基づき、市町村計画の策定や地域連携ネットワークの中核機関の整備などの施策を総合的・計画的に推進する。(p46)

 

まとめ

政府の文章は平板で、文言も難しく、さらにその行間に込められた意図を読み解くのはなかなか大変です。

しかしこれをしっかり読めば、政府の動きを予測できます。

長いものには巻かれろではありませんが、うまく波に乗って快適な定年退職生活を充実させていこうではありませんか。
 

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