みなさんこんにちは
安井宏@定年退職FPです。
最近TwitterなどSNS界隈で、公務員ブロガーといわれる人たちをよく見かけるようになりました。
みなさん博識で鋭い意見も多く参考にさせてもらってますが、公務員を前面に出したブロガーは、いままでは多くはなかったように思います。
プロフィールにもあるように、わたしも38年間公務員(地方公務員36年、国家公務員2年)をして定年退職した元公務員で、退職とともにブログを始めたので、公務員ブロガーという人たちに興味を持っています。
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公務員ブロガーというひとたち
Twitter などで多くの人たちの発言を見ていると、公務員ブロガーといった人たちが一定数います。
わたし自身も現役の公務員の時は Twitter は情報収集には使っていましたが、なかなか発信に至らずモヤモヤした気持ちを抱えたまま退職しました。
そして定年退職とともに、これから外に飛び出すぞという強い気持ちでtwitterやブログを始めました。
公務員とブロガーは、実は相性が良いと思っています。
公務員はペーパーテスト中心の試験を経て採用されていることから、基本的には文章の読解力や、文書作成能力に恵まれている人が多いです。
仕事の中でも文章を扱うことが多いため、新聞記者ほどではないですが文章の書き方について色々と訓練をさせられます。
日常の仕事の中で、様々な資料や原稿・挨拶文等等を書く機会も多く、ブログに必要なトレーニングがなされています。
公務員によくある、幅広い分野についてニュースや資料を集めて分析し、それを資料にするという仕事はブログにも似ているように思います。
公務員といっても仕事の分野は様々ですが、一般的には2-3年ごとに部署をローテーションすることもあって、一つの分野には精通しない半面、幅広い知識が得られます。
ただ言うまでもなく、公務員の仕事で作成する資料や原稿は、本人の実績にならず、匿名記事を書いたと同じく自分の仕事の蓄積にもならずもやもやした気持ちがたまります。
そういうわけで公務員というのは、SNSで発信するようなネタや書きたい気持ちの非常に多い職業だとと思います。
一方で、公務員の情報発信には大きな障害が2つあります。
一つは、国家公務員法、地方公務員法という法令上の問題で、無許可での副業が制限されていること、職務の公正さが要請されていること、信用を失墜させる行為が禁止されていることです。
仕事上で知り得た秘密を外に出せないという守秘義務については、これは民間の一般企業の人たちでも同じでしょうが、ブログに伴ってアフィリエイト収入があった時にはまず副業の問題になります。
最近になって、いわゆる「働き方改革」の流れや、人手不足の影響、人生の長寿化に公的社会保障が追いつかないことへの対策として、政府がサラリーマンの副業について「原則容認」に舵を切っていますが、現場に浸透するのはまだまだです。
いま世の中全体として副業を認める方向に進んでいるとはいえ、公務員に関して言うと職務専念義務というのがあって、副業例えばブログのアフィリエイト収入などがあると問題視されてしまいます。
もちろん許可を得れば可能ということにはなってますが、現実問題として人事当局にブログの発信の正当性を説明し、職務に悪影響が出ないことを納得させて、副業の許可を得るのは無理だと思われます。
実情はわかりませんが、多くの公務員ブロガーは同僚や世間の冷たい目を避けて、こっそり匿名でやっているのではないではないでしょうか。
無許可で副業をして、バレた場合には懲戒処分が待っています。
ぜひ現役で活躍中の公務員ブロガーの人たちには、こんなことにならないようお祈りしたいと思います。
もう一つは目立つことを嫌う職場の暗黙の制約です。
副業は収入の有無というはっきりした基準がありますが、さらに厄介なのは「信用失墜行為の禁止」です。
SNSで個人の意見を世間に発信するにしても、それが勤務する役所や公務員全体の評判を損ねるのではないかという、無言の非難や圧力があります。
処分理由にまでなりうる問題発言は論外ですが、個人の意見の発信であっても職員をコントロールしたがる管理職上司や人事当局が自由にさせておくわけがありません。
明確に線が引けないので、明らかにOKと言える分野がなく、結局のところ「出る杭は打たれる」という職場の暗黙の圧力にさらされます。
人事評価上の不利を受けるかもしれない、職場で悪印象を持たれて仕事がやりにくくなるかもしれないと、心配するのは普通でしょう。
もちろん「出過ぎる杭は打たれない」と強い意志で頑張れる人はいいのですが、転職のしにくい公務員のこと、なかなかそれを貫ける人はいません。
公務員は忖度とガマンの仕事
公務員という職業に対しての世間の見方は厳しいものがありますが、内部にいた人間として総括すると、忖度(そんたく)とガマンの仕事です。
国会では、官僚(国家公務員)が首相に忖度したかどうかが追求されてますが、直属上司だけでなくトップその他の意向を忖度しない公務員などありえません。
外部から見ると予算や権限を持った最強のサラリーマンのように見えても、役所内部では組織内外の調整に忙殺されているのが実情です。
公務員と言っても人間なので、忖度しながら駆け引きができないと調整などできるわけがありません。
また年功序列の残る組織なので、ある程度の年齢になると多くが管理職など、世間から見て目立つポジションになってきます。
こうなると議員、住民団体、業界団体などなど接触も多くなり、あちこちに気を使うことが多くなります。
わたしも以前、雑誌の長いインタビュー取材の中でしたちょっとした発言が、のちに業界の人に問題になったことが有りました。
結局の所、役所の中で仕事をするためには個性のない透明人間のような公務員が一番仕事ができるということになります。
また不祥事を起こした際でも、一般企業の人なら「会社員」と報道されるのに、公務員の場合は「〇〇市役所✕✕係長」などと、ワンランク上の報道がなされてしまいます。
世間一般の公務員を見る目が厳しいことから、住民からの匿名の通報で副業や不祥事がバレるというのは、一般企業より多いと思われます。
そんなこんなで、個人の意見を対外発信するのが難しくなり、言いたいことも言えずあちこちに気を使ってガマンを強いられフラストレーションが溜まるのが公務員の仕事です。
退職してから爆発する元公務員ブロガー
わたしも退職を機に、実名顔出しでブログをやっていますが、インフルエンサーと呼ばれるほどの人も含め、元公務員・元官僚の経歴をもつブロガーは多いようです。
これは長い公務員生活でガマンした反動というのが大きいと思います。
そもそも文書作成力、情報収集能力、社会への関心などの強い人たちなので、元公務員を差別化要因にするかどうかはともかく、これからもますます増加すると思います。
またブロガーかどうかは別として、そもそも文章を書くのが好きな人が多いと思います。
私の知っているとても偉い元公務員の方が、ある団体の理事長をしているのですが、そのホームページに理事長のつぶやきを書いています。
まあブログではないですが自らの団体のホームページを使って自分の思うことを書いておられるわけです。
わたしもブロガーとしては駆け出しですが、いつの日か、公務員・元公務員ブロガーが集まるイベントなどやってみたいと思います。
まとめ:公務員ブロガーを応援するのは市民の得
わたしはSNSで情報発信したりアフィリエイトで副業するのは、公務員であっても当然の権利として認められるべきと思っています。
本人の収入の補完、職業スキルの開発、退職後への備えなど多くの面から好ましいことが多いと思うのがその理由です。
そんななか、一部の自治体では副業解禁の動きがあります。
わたしの地元、神戸市では独自の許可基準を設け、職員が報酬を得て社会貢献活動に参加できる地域貢献応援制度を設けるなど、民間の副業解禁に呼応するような動きを見せています。
また現在の公務員職場の雰囲気も、上司が残っていても定時で帰る、職場の飲み会に参加しなくても非難されないというように、個人が主張できる時代になりつつあります。
ブログは、情報収集も含め結構大変で知的な行為です。
これにより公務員の質が高まるのは、納税者にとってオトクな話であって足を引っ張るはなしではありません。
後輩世代の人たちのためにも、公務員がブロガーとして情報発信し、評価経済の中を生き生きと活躍することに、上司も住民も寛容であってほしいと切に願ってます。