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ファイナンシャルプランナーが教える定年退職者向けお金の10回講座(4)

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みなさんこんにちわ

安井宏@定年退職FPです。

退職者のための「お金の10回講座」第3回では、「資産運用の基礎知識として、リスクとリターン」のお話をしました。

少し難しかったかもしれませんが、自分の大切な資産を過剰なリスクにさらして失わないために、ぜひ理解して欲しい内容でした。

まだ読んでいない方は、ぜひ「ファイナンシャルプランナーが教える定年退職者向けお金の10回講座(3)」をお読みください。

ここまで読んでいただいたあなたは、そろそろ資産運用の準備が整ってきました

「株の暴落で大損した」「信用していた銀行で勧められた投資信託を買ったら退職金が半減した」などというのは、多くの場合、不適切な金融商品を買ってしまったというより、過剰にリスクを取りすぎていることによります。

投資信託協会が、2017年9月に実施した調査によると、「投資信託の購入の際に重視した点」でトップは、各年代とも「安全性の高さ」で「値上がりへの期待」を上回っています。

問題は適切な知識を持ってリスク管理ができていない点なので、今回の講座を参考に無理のない資産運用をしていただきたいものです。

では第4回、リスクをコントロールしながら資産運用する方法を学びましょう。


+++もくじ+++   

  

自分の取れるリスクを知る 

前回までの講座で、株式などはプラスサムゲームで、全体としては収益が期待できる。

その一方で値動きがあるので、損をする可能性もあることを学びました。

定年退職後は5%で資産運用しましょう」などと、儲かる方にばかり目を向けさせる金融機関やファイナンシャルプランナー、マネー雑誌は間違いです

どこまで、損を許容できるかを決めれば、その中で最適な方法をとったときの予想収益が「後から」想定できるのです。

人間は弱い動物ですから、虎の子の金融資産を運用するうちに、リーマンショックのような大暴落などが来ればオロオロしてしまいます。 

損をしてもいい気はしないにしろ、まあまあ平常心で日常が過ごせ、夜もぐっすり眠れる金額がどれほどか、まず考えましょう。

個人の投資経験や、もっている金融資産の総額、年金など他の収入の多寡などで、人により答えは様々でしょうが、年齢は大きな要素です。

定年後のみなさんには、過大なリスクを取らないことをオススメします。

儲かることはイメージしやすいのですが、株の暴落で大損した人のこともニュースなどで知っているはずです。

伝説的な暴落を記録した1929年の世界大恐慌はもとより、1972年のオイルショック、1987年ブラックマンデー、2000年のITバブル崩壊と同時多発テロ、2008年リーマンショック、2011年東日本大震災など株式市場が暴落することはこれまでも何度もありました

そのたびに多くの投資家が大損をして資産運用をやめてしまいます。

しかし、株式市場はいずれの場合も回復し、生き残った投資家だけが、その後の回復の波に乗れました。

これからも市場の暴落はやってくると思いますが、その際も余裕を持って眠れる範囲の投資に留めておけば、狼狽売りすることなく資産運用を続け、やがてやってくるであろうV字回復を享受できます。

 

年金運用でとっているリスクの程度

個人の資産運用ではありませんが、わたしたちの年金資産を運用するGPIF(年金積立金管理運用独立行政法人)の運用は参考になります。

学識者など専門家が議論して運用を決めていること、運用実態の情報公開が進んでいること、分散投資の考え方を活用し安全かつ効率的な運用方針であることがその理由です。

少なくともこれまでは極めて好成績であったことなどから、定年退職世代の資産運用では、まず参考にすべき事例です。

2017年度の運用報告書によると、年金運用のリスク=標準偏差は、12.24%ということで、最悪のケースで-25%程度の損失を想定していることがわかります。

どうですか、あなたは金融資産の4分の1が失われて耐えれますか

 

損失に耐えられる金額の求め方

若い世代は、これから資産を積み上げるので、GPIFのようにリスクを取る割合をパーセントで決めるのは合理的です。

巨額の資産を長期に渡って運用する年金運用は、その意味でいい見本と考えられます。

しかし、退職後の個人の資産運用は、金額も退職時が最大で徐々に取り崩して減少しますし、運用期間もせいぜい30年と限られています。

定年退職世代は、損しても耐えられる範囲を率ではなく、金額で求めましょう

とはいえ「どれだけ損しても耐えられますか」と言われて、即答できる人は少ないと思います。

一例として、金融資産の取り崩し金額から考えましょう。

定年退職世代の家計の場合、公的年金が収入のベースです。

実は、サラリーマンで定年まで働き退職した人なら、厚生年金などでかなりの程度まで最低生活費は確保できています。 

今後は、金融資産を徐々に取り崩して、それを年金に加えたゆとりとして生活します。

非常にラフな話ですが、退職前の金融資産と退職金で、3600万円持ってると仮定して、定年後から死ぬまでを30年(360ヶ月)として、運用や税金を考えなければ月に10万円を年金に上乗せできます。

あなたの65歳以降の年金額は、ねんきん定期便で確認されてるでしょうから、年金プラス10万の生活を一度イメージし、次に上乗せが、9万円ならどうか、8万円ならどうかと考えてください。

もし「年金プラス8万円でもなんとかなるさ」と考えれば、退職時の金融資産3600万円が2割くらい減っても大丈夫ということで、3600万円の2割の720万円が失った場合に耐えられる金額と計算できます。

 

非リスク資産は温存する

自分が失っても耐えられる金額が決まれば、その3倍の額を資産運用に回し、残りは安全と思われる非リスク資産として温存しましょう。

非リスク資産の置き場所としては、国債や銀行預金になりますが、超低金利が続く日本の現状でおすすめできるのは、最低0.05%の金利が付きインフレにある程度追従できる10年もの個人向け国債か、銀行の定期預金でしょう。

銀行の場合は、ペイオフ対策として1銀行に預けるのを1000万円以下にすることと、ネット銀行などでは、0.1%程度と都市銀行の10倍以上の金利が付く場合があることを念頭に置いておいてください。

ネット銀行の優遇金利は良いのですが、一時的なキャンペーンだったり系列の証券会社とセットの場合の割引だったりするのでよく調べる必要があります。

10年もの個人向け国債は、購入すれば放置でよく、金利が上がってくれば勝手にその金利も上がります。

ただ、こちらも購入時期によってはキャンペーンでポイントや手数料還元があったりするので、時間をかけて調べてから購入するのが得策です。

 

リスク資産は分散投資で

リスクに晒してもいい金融資産については、前回プラスサムゲームであることを学んだ、株式で運用しましょう。

ここで株式は、前回学んだ分散投資の効果を思い出し、個別株ではなく投資信託などの仕組み使って幅広い銘柄に投資します。

リスクに耐えられる金額の3倍を資産運用に回すと言いましたが、これは国内外の株式で運用した場合に、平均的には5%程度のリターンが期待できるものの、最悪の時(統計学で言う-2標準偏差、確率で2%程度)には3分の1程度が失われるとの計算によります。

このあたりの話は奥が深いのですが、全体をざっくりお話するのがこの講座の趣旨なので、深入りはしません。

興味がある方は統計学の入門書で正規分布や標準偏差を学んでいただくか、インデックス投資を学べる世界一ラクなお金の増やし方 #インデックス投資はじめました」「お金は寝かせて増やしなさい」などを一読することをオススメします。

 

効率的フロンティアという限界

分散投資は優れた仕組みですが、資産配分をいろいろ変えても、これ以上有利にならない線があります。

同じリターンではリスクが最小に、同じリスクではリターンが最大になるような組み合わせを結んだ線で、効率的フロンティアという素敵な名前がついています。 

今後わたし達は、この効率的フロンティアの内側で投資対象商品を選定していくことになります。

株式など価格の変動のあるものに投資しないと収益は得られません

資産運用では、大きなリターンを求めると大きなリスクが必要で、甘い話はありません。 

元本保証のリスクゼロで、年利10%などというのは詐欺ですから気をつけてください。

定年退職者の資産運用は、大儲けを狙うではなく、資産を守るための保守的な安定運用が目標です。

 

まとめ

過大なリスクを取って、大切な老後資金を毀損しないようにするためには、リスクをとって運用する資産と、非リスク資産を分けることが大切です。

ある意味、この10回講座でいちばん大切な部分がここだと思います。

資産運用といえば、儲かる銘柄の選定や投資のタイミングが話題にはなりますが、大切なのはそれじゃないです。

定年退職世代は、まずどれだけの金額をリスクに晒すか、決めることから始めましょう。

ここまで読んでいただきありがとうございます。

次回は、いよいよ窓口となる金融機関を選んで資産運用をスタートさせましょう。

  

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