みなさんこんにちわ
安井宏@定年退職FPです。
私はファイナンシャルプランナーとして、もともとお金には興味がありました。
定年退職して退職金をもらい、年金受給も数年先に見えてくると改めてお金のことをより深く考えます。
東洋経済オンラインに、5000万円の資産がわずか10分の1に激減したという「65歳定年男性が陥った株式投資の危ない心理」という記事が出ていました。
日本では、学校で金融に関する教育を行わないので、社会で様々な事象を見たり、定年退職前の退職準備講座で勉強したりで徐々に学んでおられるのが実情でしょう。
サラリーマン人生では定年前後が一番資産が大きくなる時期です、このときに十分な金融リテラシーがないと冒頭のような悲劇に見舞われかねません。
お金の知識は、金融機関でアドバイスを受けるのではなく、自分で考えることが大切です。
+++もくじ+++
- 金融リテラシー調査
- 際立つ日本人の金融リテラシーの低さ
- 定年退職世代は専門性より幅広い知識
- 情報源はよく選んで
- 第一歩は、自分の年金額の確認から
- 二歩目には確定申告で税に敏感になる
- 金融庁の動きは大歓迎
- まとめ
金融リテラシー調査
日銀を事務局とする金融中央委員会が実施した「金融リテラシー調査」というのがあります。
次の図は、金融に関する正誤問題の正答率を示しています。
18~29歳の年齢層が最も低く、年齢が上がるとともに上昇する傾向にあります。
出典:金融リテラシー調査2016年調査結果
年齢を重ねるうちに自ずとお金に対する知識や経験が増えるため金融リテラシーが上がるという面と、徐々に自分の金融資産が積み上がるに前後してお金の知識も上がっていく面があるでしょう。
お金が先か知識が先かではなく、金融資産が増える高齢者になればなるほど金融リテラシーが増えるのは、高齢者を狙う詐欺にあわないようにするためにも、望ましいことでしょう。
気になるのは、70代になって金融リテラシーが落ちてきていること。
認知能力の低下なのか、すでに年金を受給していることで「大きなお金がなくても老後はなんとかなる」事に気づき、安心してしまっているのかもしれません。
家計管理や生活設計についての授業などの「金融教育」については、「行うべき」との意見が多いものの、実際に受けたことのある人は少数に止まっているのも憂うべきことでしょう。
際立つ日本人の金融リテラシーの低さ
調査では外国との比較をしていますが、米国やドイツ、英国との比較でもかなり低いという予想通りの展開です。
米国と比較すると、共通の正誤問題に関する正答率は、10%下回っています。
ドイツ、英国との比較でも、共通の正誤問題に関する正答率は7~9%下回っているのに加え、「何かを買う前にはそれを買う余裕があるかどうかを確かめる」など 望ましい行動をとる人の割合も、7~17%下回っています。
この原因については、いろんな分析があるでしょうが、学校で教えないこと、子供にお金の話をするのを良しとしない雰囲気などが大きく影響していると思います。
「貯蓄から投資へ」というのが叫ばれてから久しいですが、日本人の貯蓄志向というか、リスクのある金融商品への忌避感が強いのは、そもそも知らない・知識がないのが原因かもしれません。
定年退職世代は専門性より幅広い知識
若い人は資産運用などより、まず自分の稼ぐ力を磨くべきでしょう。
しかし、定年後はお金が生活水準向上のツールになるので、金融商品の知識だけでなく、節税の基本的知識や、高額医療費の知識、年金の繰り上げ繰り下げの知識など、幅広く知ることが大切です。
働いていたとしても収入の大幅に下る定年後では、フローの収入を上げることより、ストックである自分の金融資産の活用が重要になってきます。
金融の常識があれば、高齢者を狙う詐欺にも引っかかりません。
情報源はよく選んで
税制や高齢者福祉の制度など、定年退職世代に関係のある諸制度は頻繁に変わります。
金融リテラシーが重要とはいえ、お金の知識を蓄積するより、知るための能力を磨くほうが重要です。
特に注意しないといけないのは、金融機関からの情報はバイアスだらけであることです。
金融機関が開く無料のセミナーは人気ですが、十分な基礎知識なくでかけていってセミナーで得た知識ですぐに行動するのは危ないです。
ましてや無料相談をうたう保険ショップ、金融機関の相談会は近づかないのが得策です。
高齢者の多い図書館で人気のマネー雑誌も、広告スポンサーがあるものは注意して見るべきです。
商品を売ることのない公的機関や団体のセミナーなどはおすすめですが、機会が少ないのが残念です。
身近で手軽な情報源としておすすめは書物・新聞よりブロガー・Twitterです。
これから金融・経済環境の急変が予想されますが、タイムリーな情報を取れるのに加え、仮に偏った情報があったとしても、多くの他の情報でうまく修正されます。
部分的な知識だけでなく、体系的に学びたくなれば、ファイナンシャルプランナーの資格の取得をおすすめします。
私は大学院で学んで経営科学の修士号を持ってますが、実用性という意味ではファイナンシャルプランナーの方が優れてます。
第一歩は、自分の年金額の確認から
自分の金融知識に自身がない方には、一気に身につけるのは困難です。
あせらずゆっくりとやりましょう。
最初の一歩としておすすめは自分の年金予想額の確認です。
毎年「ねんきん定期便」がお手元に届いていると思います。
その「老齢年金の見込額」を見て、自分の考えられる余命をかけてみると、じつは自分には膨大なかくれ資産があることがわかるでしょう。
その将来の年金資産とうまくつきあうことが定年退職後ライフの快適さを左右します。
二歩目には確定申告で税に敏感になる
次にやってみたらいいのが確定申告です。
サラリーマンは会社が年末調整をしてくれるので、確定申告には縁がないと思っている人も多いですが、これを自分でやってみるとものすごく勉強になります。
大きな所得がなくても、1年に世帯合計で10万円以上の医療費を払ったり、ふるさと納税をしたりしたら、税務署の相談会での他人任せや「ふるさと納税ワンストップ特例制度」を使うことなく、自分で確定申告してみましょう。
国税庁が国の役所とは思えないほど優秀なホームページを作っています。
操作は簡単ですが、申告書作成の過程で多くの勉強ができると思います。
金融庁の動きは大歓迎
本当は文部科学省が若年層からの金融教育をしてほしいところですが、残念ながらそれを待つのも無駄な気がします。
それに代わって霞が関では金融庁の動きがすごいです。
若い人への対策はつみたてNISA meetupなどで一巡しつつありますが、今後は定年退職世代を注目しているようです。
まとめ
金融リテラシーに欠けたまま老後を迎えるのは悲惨です。
金融リテラシーには特効薬はなく、情報源を厳選して、一歩一歩積み上げていくしかありません。
退職金運用で一発大儲けを狙うより、損をしないように徐々に行動していきましょう。
お金の知識は、定年退職後の生活を豊かにしてくれます。
わたしも皆さんの定年退職ライフに少しでもお役に立つような記事を書いていくつもりです。